抄録
フエリチンでラベルした抗A抗体を用いて予めヒトA型赤血球を感作しておき, それに同一血液由来の白血球を加えると赤血球と白血球 (好中球) の接触面に濃縮斑がみられる.
血清学的な検討の結果, この濃縮斑の出現は血液型特異性を有し, 抗体感作赤血球との接触の場合にのみみられることがわかった.
またこの部位を電子顕微鏡によって観察すると, 濃縮斑は好中球の細胞質にのみ存在し, 赤血球側には存在していない. 斑の部位では好中球と赤血球の間に約250Åの細胞間隙が存在している.
濃縮斑で接触している赤血球は著しく変形している. このことからこの斑が赤血球破壊に一役買っているのではないかと思われる.
この濃縮斑が抗体との結合部位であるかどうかは疑問である.