2023 年 79 巻 7 号 論文ID: 22-00163
災害時の基礎自治体への主な人的支援スキームは,「被災市区町村応援職員確保システム」として制度化された.加えて基礎自治体は,他の自治体間との応援協定の締結を進めているが,それらが災害時にどのように機能するかが十分に検討されているとは言えず,基礎自治体の受援計画が機能しない可能性が指摘されている.そこで本研究では,応援職員派遣と倉敷市の受援対応の状況を客観的に把握するために,平成30年7月豪雨で倉敷市が受け入れた応援職員やその支援業務の実態を分析し,(1) 人的支援スキーム毎に受援プロセスや特性が異なることを踏まえた運用,(2) 応援協定による事前の応援内容の協議,(3) 担当部署のマネジメント機能の確保が,基礎自治体の受援の観点から見た人的支援スキームに求められる要件と受援体制の課題であることを明らかにした.