Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
正常と異常のヒト赤血球の走査電子鏡による観察
徳永 純一藤田 恒夫服部 晃
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1969 年 31 巻 1 号 p. 21-35

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抄録
ヒトの血液二三滴を 比較的多量の種々の濃度のグルタールアルデヒドの中に滴下して固定した. アセトンで脱水ののち, 血球の純アセトン懸濁液をスライドガラス上で温風下に乾燥し, カーボンと金を蒸着して走査電子鏡で観察した.
1. 赤血球の形態に対する固定液の滲透圧の影響が観察された. 個々の赤血球が, とくに低張固定液の中で, 著しく異る滲透圧抵抗性を示した. 赤血球の自然の形態を保つには, 1%グルタールアルデヒド (0.1M燐酸バッファー) が適当であることが見出された.
2. この固定では正常赤血球は表面の平滑な両面くぼみの円板をなし, 少数の片面くぼみのものを混じえる. 若干の赤血球の表面に1ないし数個のイボ状の突起が見出された. これは赤血球の切片に透過電子鏡で見られた segresome 状の突出物 (MIYOSHI と MATSUKURA, 1969) に相当するものと考えられる.
3. 病的材料としては, 楕円赤血球症, 遺伝性球形赤血球症, 無形成貧血における赤血球の形態異常が観察された. 球形赤血球症では, 赤血球の表面に小さなすり鉢状の穴の存在が注目された.
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© 国際組織細胞学会
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