Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
カワヤツメ脊髄および腸管壁内のモノアミン含有神経細胞について
本間 信治
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1970 年 32 巻 4 号 p. 383-393

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抄録
カワヤツメの脊髄と腸管壁でのモノアミン含有神経細胞の存否を FALCK-HILLARP による螢光組織化学的方法で検索した.
1. 脊髄内中心管の附近に 螢光性神経細胞が 脊髄のほぼ全長にわたって存在し, これら神経細胞の神経線維のほとんどが 腹側に向かうのが見られた.
2. 脊髄のほぼ腹側面に一対の螢光を発する地域がみられ, これらは脊髄内螢光性神経細胞の神経線維の断面と思われる螢光性小斑点より構成されているように見えた.
3. 脊髄内螢光性神経細胞の神経線維は, 主にこの螢光域に終るものと想像された.
4. これら脊髄内螢光性神経細胞は, 腸管へ進入する血管の壁, 腸管壁, 総排泄口部交感神経節 (総排泄口附近の尿管背側部にある神経節の仮称) にみられた螢光性神経要素と同様, フォルムアルデヒド処理および非処理標本の比較, レセルピン投与, 水酸化ホウ素ナトリウム試験などの結果から, モノアミン作働性であろうと想像した.
5. 少数ながら脊髄前根および後根にも見られた螢光性神経線維あるいは内臓遠心性神経線維が, 脊髄内螢光性神経細胞に由来するかどうかは, 本研究では明らかにできなかった.
6. 交感神経幹や腸壁神経叢の個体発生と系統発生について, 本研究でみられた螢光性神経要素と関連させて, 若干 論議してみた.
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© 国際組織細胞学会
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