Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
32 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 服部 晃
    1970 年 32 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    プロピレンオキサイドに融けるプラスチック (polycarbonate) 製毛細管 (微少ヘマトクリツト用, 市販) を利用して, 少量の血液から白血球と血小板を電顕観察する簡便な方法 (アンダーソン変法) を報告した.
    耳垂または静脈から血液を ヘパリン処理した毛細管の半分まで吸い上げ, 次に等量の0.5%グルタール アルデヒド (0.1M燐酸緩衝液, pH7.4) を吸い上げる. 1mlの血液から30個以上の試料を作ることが出来る. 下端を閉じ遠沈 (1,000∼2,000回転5分, 次に5,000回転2∼3分). 白血球, 血小板を含む バッフィ コート部分 (1mm) を切り出して後固定, 脱水する. プロピレン オキサイド中で遊離した試料をエポン樹脂に包理. 本法による血球の微細構造の保存は, これまでの方法にくらべて遜色ない. 本法は貧血者や幼小児, 小動物の検査に とくにすすめられ, また 他の遊離細胞や細胞小器官の遠心分画などの観察に応用できる.
  • Milan TITLBACH
    1970 年 32 巻 4 号 p. 315-328
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    1. Langerhans islets in the green iguana form a large mass in the part of the pancreas near the spleen; this mass is covered only with a thin layer of zymogen tissue. Islet cells form abundantly anastomosing cords.
    2. As in other reptiles, three types of cells are found in the islets both by light and electron microscopy; each type can be easily demonstrated under the light microscope, using specific staining methods. B-cells are not evenly distributed in the islet tissue; sometimes other cells, mostly A-cells, predominate.
    3. With the electron microscope individual types of cells differ in the shape and size of specific granules; a-granules (390±90nm) are mostly spherical and dark. The core of b-granules in sections (total size of granules being approximately 350±80nm) takes the shape of various geometrical figures. D-cells, whose granules (270±75nm) are smaller, lighter and slightly irregular, are found more sporadically.
    4. Cells with granules of different shapes and with different appearances of cytoplasm in various parts of the cell occur especially at the islet periphery. Besides typical zymogen granules characteristic formations, which should correspond to A- and B-cells, possibly to D-cell granules, may be found in the same cell. Fine ducts are found at the islet periphery as well. Their cells do not contain any granules; they are, however, characterized by mitochondria with broad and dark cristae as well as a larger amount of glycogen.
  • 佐野 豊, 吉川 検, 越智 淳三
    1970 年 32 巻 4 号 p. 329-345
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    交感神経ニューロン内のカテコールアミンの動きが FALCK-HILLARP の螢光法を用いて, イヌの下腸間膜神経節から結腸壁にいたる結腸神経の全経過と, 坐骨神経を材料として, 正常時および種々の切断, 結紮, レセルピン投与さらにこれらの組み合わせ実験を行なって調べられた. また結腸神経の正常および近位切断端が電子顕微鏡で観察され, 螢光所見と比較された.
    1. 正常の下腸間膜神経節では大多数の神経節細胞にカテコールアミン螢光を認め, これらの細胞の周囲には螢光性線維が走っており, ときに これらの細胞に終末しているものもあった. 結腸神経はどの部分でも弱い螢光をもっていた. 結腸壁では螢光性線維は粘膜下叢に達していた.
    2. レセルピンを投与すると, 6時間後には下腸間膜神経節から結腸壁内の終末に至る全経過に螢光が消失したが, 24時間後には神経節の神経細胞に弱い螢光が再び現われ, 48時間後には幾分強くなり, 96時間で正常に回復し, 結腸壁の終末にもやっと弱い螢光が現われた.
    3. 結腸神経を結腸壁に近い分岐部で切断し, 同時に下腸間膜神経節に起始する結腸神経以外の全神経を根部で切断すると, 時間の経過とともに, 下腸間膜神経節の螢光性細胞は数を減じ, それと逆に結腸神経の近位切断端には螢光物質が集積し, 7日後に極大に達し, その後 減少しはじめる. 切断遠位端および結腸壁の終末では4日後には螢光物質は消失する.
    4. 結腸神経の走行途中で2か所結紮を行なうと, 結紮間の部位では結紮後1ないし2日で螢光物質は両結紮端に認められるが, とくに遠位部に多く集積する.
    5. 神経切断後レセルピンを投与すると, 24時間でほぼ完全に螢光は消失するが, レセルピン投与後切断を行なうと, 5日後になって切断近位端の螢光が消失する.
    6. 坐骨神経に含まれる螢光性線維は, 腰部交感神経幹切除後1週間で完全に消失した.
    7. 結腸神経の切断近位端には, 電顕的に直径1,100-1,500Åのいわゆる大含粒小胞が数多く認められたが, 小含粒小胞はKMnO4固定によっても見いだせなかった. 大含粒小胞は正常の結腸神経の軸索内にも散在している.
    以上の結果から, 交感神経ニューロンに含まれる螢光物質は, 神経細胞体内でつくられ, 軸索形質流にのって末梢へ向かい, 終末まで送られると結論した. この螢光物質はすべてではないにしても, 大含粒小胞に含まれて末梢へ流れていくものと考えられるが, 終末にしばしば見られる小含粒小胞との関係を明らかにすることはできなかった.
  • 小泉 準三, 嶺井 進
    1970 年 32 巻 4 号 p. 347-354
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    3例の髄膜細胞性髄膜腫生検材料を光線顕微鏡と電子顕微鏡で検索して次の結果を得た.
    腫瘍細胞に多量のグリコゲンがみとめられる. 最も著しい場合は, グリコゲン顆粒が腫瘍細胞の細胞質基質を充たしているし, また細胞によっては, その細胞質と突起に散在性にグリコゲン顆粒が存在している. グリコゲン顆粒を含まない腫瘍細胞もある. このように腫瘍細胞が量や分布において各種各様のグリコゲン顆粒をたくわえている状態は, 腫瘍性の糖代謝異常が個々の細胞にさまざまな程度に起こっていることに基くものと推定される.
  • 藤田 英輔, 麻上 千鳥, 小田 嘉彦, 山本 慶一郎, 内平 孝雄
    1970 年 32 巻 4 号 p. 355-373
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    第6月経週令と推測される胎芽 (全長5mm) から第10月経週令と算定される胎児 (頭尾長16mm) にいたる各胎令の皮膚について, その表皮細胞の分化を電子顕微鏡的に検討し, 以下の結果を得た.
    1) HOYES (1968) が第8月経週令と算定される胎児で見た2細胞層から成る表皮は, 胎生最初期の状態ではなく, 単層または一部2層で, 大部分単層の状態が 少なくとも6∼7週令までは先行するものと考えられる.
    2) 表皮構成細胞中には, 6∼7週令では トノフィラメントの発生は まだ見られないが, デスモゾームは その大部分のもので すでに形成されているので, そのケラチノサイト方向への第一段階の分化を完了したものと思われる. 第8週令で細胞質内に痕跡的に発生したトノフィラメントが9∼10週では明らかな増加を示すので, この時期にケラチノサイト方向への第2段階の分化が起こるものと思われる.
    3) 従来の報告において, 人胎児表皮中にメラノサイトが電顕的に見出された最早期胎令は12週令であったが, 本研究では9週令が最早期であった.
    4) 本研究で観察した 何れの胎令の表皮にもランゲルハンス細胞は見出されなかった. ただし 第6月経週令と推定される胚芽の表皮中に, 細胞型を決定しえぬ 二三個の細胞が見られた.
  • 鈴木 清之
    1970 年 32 巻 4 号 p. 375-381
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    進行性筋ジストロフィー症患者 (32才男) の筋生検を行い, リングファイバーとその神経筋接合部を観察した. リングファイバーの筋線維は, 中心部は長軸方向に, また周辺部はそれをとりかこむ様に走り, 一部はみだれた配列をしめしていた. 筋小胞体は, 多少, 少ない様にみえた. トライアドは筋線維の横紋に関係なく不規則に分布していた. ミトコンドリアは, 筋鞘の近くに特に多くみられた.
    リングファイバーの神経筋接合部は, 骨格筋のそれと似た像を呈するが, 結合ヒダは, もっと複雑な像を観察した.
  • 本間 信治
    1970 年 32 巻 4 号 p. 383-393
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    カワヤツメの脊髄と腸管壁でのモノアミン含有神経細胞の存否を FALCK-HILLARP による螢光組織化学的方法で検索した.
    1. 脊髄内中心管の附近に 螢光性神経細胞が 脊髄のほぼ全長にわたって存在し, これら神経細胞の神経線維のほとんどが 腹側に向かうのが見られた.
    2. 脊髄のほぼ腹側面に一対の螢光を発する地域がみられ, これらは脊髄内螢光性神経細胞の神経線維の断面と思われる螢光性小斑点より構成されているように見えた.
    3. 脊髄内螢光性神経細胞の神経線維は, 主にこの螢光域に終るものと想像された.
    4. これら脊髄内螢光性神経細胞は, 腸管へ進入する血管の壁, 腸管壁, 総排泄口部交感神経節 (総排泄口附近の尿管背側部にある神経節の仮称) にみられた螢光性神経要素と同様, フォルムアルデヒド処理および非処理標本の比較, レセルピン投与, 水酸化ホウ素ナトリウム試験などの結果から, モノアミン作働性であろうと想像した.
    5. 少数ながら脊髄前根および後根にも見られた螢光性神経線維あるいは内臓遠心性神経線維が, 脊髄内螢光性神経細胞に由来するかどうかは, 本研究では明らかにできなかった.
    6. 交感神経幹や腸壁神経叢の個体発生と系統発生について, 本研究でみられた螢光性神経要素と関連させて, 若干 論議してみた.
  • 1970 年 32 巻 4 号 p. 395-397
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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