Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
腱骨結合部の石灰化に関する微細構造学的, 細胞化学的研究
山田 まりえ
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 39 巻 5 号 p. 347-378

詳細
抄録
幼若および成熟ラットを用い, 腱骨結合部における石灰化を中心に微細構造学的, 細胞化学的に検索した.
腱骨結合部の線維軟骨縦隔基質には, 基質小胞が存在し, それらは直径30-300nmの大小さまざまな様相を呈し, その内容も空胞状から電子密度の高いものまで, 多様であった. 最初の石灰化像は, 基質小胞中への針状結晶構造の出現として認められた. それらの針状結晶構造は放射状に拡がり, 石灰化球を形成し, 基質小胞の膜構造は消失した. この時期に, 膠原線維には石灰化は認められなかった.
アルカリフォスファターゼ活性は, 基質小胞膜と線維軟骨細胞膜の両方にみられ, 石灰化開始部位に近接するに従い, 強い反応がみられた.
ピロアンチモン酸カリ法を用いてカルシウムの局在をしらべたところ, 反応産物は主として線維軟骨細胞の細胞膜, ミトコンドリア, 基質小胞にみられ, それらは石灰化開始部位に近づくにつれて強さを増した. しかし一旦石灰化が生じると, 細胞膜, ミトコンドリアにおける反応はほとんど消失し, 石灰化塊に近接した基質小胞にのみ反応がみられた.
基質小胞の由来と形成機序については, 微細構造学的, 細胞化学的見地からみて, 細胞膜から発芽性に分泌されるか, またはしばしば観察される細胞の死骸に起因するものと思われる.
以上の所見から腱骨結合部の線維軟骨における石灰化は, 主として基質小胞によって開始されることが明らかになった.
著者関連情報
© 国際組織細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top