Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
マウス赤脾髄における赤血球生成におよぼす妊娠の影響
電子顕微鏡による定量形態学的観察
佐々木 和信松村 譲兒伊藤 隆
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1981 年 44 巻 5 号 p. 429-438

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抄録

正常, 妊娠5日と15日および分娩後20日の雌dd-マウスで, 脾臓赤脾髄における赤血球産生を電子顕微鏡レベルで定量形態学的に検索し, 妊娠の赤血球産生に及ぼす影響を研究した.
生後60日の正常赤脾髄では, 赤血球系細胞が最も多く, 血球系細胞の73.3%を占め, さらにその55.1%が有核赤芽球である. Stereology による解析で, 赤芽球は核径によって, 大・中・小の3型に分類できる. 赤芽球のうちで, 小型赤芽球が最も多く約50%を占め, 中型は約35%, 大型は15%を占める. 大・中および小赤芽球の核体積比はほぼ4:2:1である.
妊娠期において, 赤脾髄の赤血球系細胞とくに赤芽球は著しく増加する. 赤芽球の総数は, 正常群で3.8×107, 妊娠5日で9.7×107, 妊娠15日で17.4×107である. 妊娠初期には, 小赤芽球に比べてとくに大・中赤芽球が著しく増加するのに対して, 妊娠末期では, 大・中赤芽球のみならず, 小赤芽球の増加が著しい. 分娩後20日で, 赤芽球は数においても, 各型の比率においても正常に復する.

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© 国際組織細胞学会
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