Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
カニクイザルの歯根膜の神経支配
伊東 且裕脇田 稔小林 茂夫
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 44 巻 5 号 p. 453-466

詳細
抄録

カニクイザルを材料とし, 歯根膜中の知覚神経と神経終末の分布様式と形態を鍍銀法により検索し, 次の結果を得た.
1. 神経は歯槽底ならびに側壁にある開口部より歯根膜中に入る. ここで神経は血管に伴行するようになる.
2. 歯根膜中での神経分布は一様ではなく, 根尖側1/3ではとくに密である. この領域で神経線維束は歯槽壁に近く, 単一線維はセメント質近くに観察されることが多く, 全体としてこれらは, 歯根を包むように分布する.
3. 神経終末はその形態から次のように分類される. 1) 歯槽骨近くに見られることが多い自由終末もしくはボタン状の終末. 2) 歯根膜中間部ならびにセメント質近くに多く見られる樹状もしくは叢状の終末. これからさらにセメント質中に線維が延び出していることもある. 3) 少数のマイスネルの小体に非常によく似る特殊な終末. 4) 樹状もしくは叢状終末が規則的な間隔を置いて存在し, あたかもこれらの終末が各々の支配領域を分担しているかのように見られるもの. この型の終末は, とくに歯根膜の機械的刺激の受容装置であると思われる.

著者関連情報
© 国際組織細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top