抄録
子宮頸神経叢は胎生中期に於て既に甚だ良好な発達を示す. 其中には大小種々の神経節の形成を見. 且つ其中に諸所にパラガングリアの混在が認められる.
神経細胞は子宮筋層内には発見されない. 神経叢内の神経細胞は既に甚だ良好に発達し, Dogiel 氏第1型及び第2型細胞に明瞭に区別される. 又稀ならず2核細胞の存在を見る. 神経節内パラガングリアは交感性のものである. 然し其神経分布状態は Zuckerkandl 氏パラガングリアに於けると多少異にする. 即ち神経線維の終末はより細い且つ太さの変化を余り示さない線維から成る特有な終末網で表わされる.
子宮頸神経叢からの大小の神経束は多数の分枝と共に筋層, 更に固有膜内に拡散する. 神経要素は細い植物線維から成るが, 其中に極小量の太い知覚線維の混在を見る. 尚お血管周囲性神経叢も良好な発達を示す.
植物線維の終末は胎生中期子宮に於ても既に概成された植物性終網として筋層及び固有膜内に形成される. 子宮上皮及び子宮腺に外接して走る終網も存在するが, 之は更に其上皮細胞内までは入らない. 血管壁で中膜の筋線維と終網との間の原形質結合 (Knoche) は認められない.
知覚線維は専ら固有膜の結締織, 更に上皮直下にまでも達し, 専ら尖鋭状に終る最単純な非分岐性或は2-3の分枝から成る単純性分岐性終末に移行する. 此知覚線維及び其終末は子宮頸部に於て最も多く, 子宮体部, 同底部の順に減少し, 子宮膣部では甚だ稀となる.