Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
大腸菌を胞食した線組球の初期変化の位相差鏡検
三井 康夫
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1955 年 8 巻 1 号 p. 149-155

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抄録

加熱して殺した大腸菌の浮游液を二十日鼠の背部の皮下に注射し, 4時間後にそこの結合組織を取り, 位相差顕微鏡で観察した. 大腸菌を胞食した線組球 (線維細胞と組織球の移行形) では核が漸次球形化して縮小する. 胞体の突起が短縮し, 細胞表面がゆるやかに小さく波打ち, 杆状の糸粒体は比較的速かにすべて球形化する. かくして線組球は組織球と呼ばれるべき形に変態する. 胞食された菌の周りには小空胞が出来て, 漸次互いに融合して増大し, 菌を包み, 中には胞体の表面に突出する程に大きくなるものがある. 胞形質のその他の部にも空胞が出来るが, 特に球形化した核の周りには小空胞が多くて一様に明るく見える. 甚だ大きくなった空胞が核の一側を圧してそこを陥凹させることがある. 空胞内の大腸菌は膨潤して太くなり, 短くなる.

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© 国際組織細胞学会
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