Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
爬虫類の孤束及び孤束核に関する研究
高島 浩蔵沓沢 要吉畠山 重義李 一善
著者情報
ジャーナル フリー

1955 年 9 巻 3 号 p. 299-306

詳細
抄録

大とかげ (Varanus), たてがみとかげ (Iguana tuberculata), 黒鰐 (Caiman niger) 及び 王様とかげ (Basiliscus) 等爬虫類の孤束及び孤束核を Palcarmine 染色連続切片で研究し, かなり興味ある所見を認める事が出来た.
大とかげ (Varanus) では孤束は舌下神経核が最大に発達している高さから迷走神経背側核の頭側端の高さまで認められるが, その全長に於いて1/4廻転のねじれを示している. 孤束核は孤束の全周を取巻いているが, 或部分が特に強く発達し, この部分は孤束を縦に半廻転だけ螺旋状に取巻いている. 尚所々に於いて輪廓の明瞭な円型又は楕円型の核質が孤束内に入込んでいるのが見られる.
たてがみとかげ (Iguana tuberculata) では孤束は舌下神経が最大に発達せる附近から顔面神経核が最大に発達せる附近まで認められる. 孤束核はやはり孤束の全周を取巻いているが, 大とかげに於けると同様にその特に強く発達せる部分は孤束を大凡半廻転近く螺旋状に取巻いている.
黒鰐 (Caiman niger) では孤束は舌下神経核が最大に発達せる附近から迷走神経背側核の頭側端の高さまで認められる. 孤束核は比較的よく発達し, 前2者同様孤束周囲を環状に取囲んでいるが, 特に強く発達せる部分は孤束の頭側半に於いて軽い螺旋状を呈している.
王様とかげ (Basiliscus) では孤束は舌下神経核の最大に発達せる高さから顔面神経核の頭側端の高さまで認められる. 孤束核は同じく孤束の周囲を環状に取囲むが, 他の3種と異りその特に強く発達せる部分が孤束を螺旋状に取巻く事がなく, 終始同じ位置を占めている. 尚核の孤束に対する量的割合は他の3種に較べて, 大きく, 所々核が孤束内に不規則に入込み, 孤束をいくつかの小束に分けている事がしばしばである.
或種爬虫類に於いて孤束核の特に強く発達せる部分が孤束を螺旋状に取巻いている所見が如何なる意義を有するかは不明であるが, 孤束及孤束核はその相対的な長さは人と大差ないが, その断面は人の夫より相対的に大きいから, 恐らく爬虫類の味覚は非常に鋭敏なものと思われる.

著者関連情報
© 国際組織細胞学会
次の記事
feedback
Top