青森大学付属総合研究所紀要
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北陸新幹線・延伸半年後の概観
-敦賀市民アンケートと沿線ヒアリングから-
櫛引 素夫
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2025 年 26 巻 2 号 p. 24-42

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抄録
北陸新幹線は2024年3月,石川県金沢市-福井県敦賀市の区間が開業した.その半年後,2024年9月に敦賀市民1,200人を対象とする郵送アンケートを実施した.前回2023年9月のアンケート同様,回収率は20%台にとどまったが,市民の8割以上が敦賀への新幹線延伸を歓迎していた.その理由は,市を訪れる観光客が増加したこと,まちに活気が生まれたこと,メディア等で広く地元が紹介されたことなどだった.また,敦賀市や福井県に良い効果をもたらしたと評価する人が多い半面,自分の暮らしに良い効果が及んだと評価する人は限定的だった.その理由は主に,新幹線に乗車したことのある人がまだ少ないことだった.北陸新幹線は「東京に早く行ける」ことが最も高く評価されている.一方で,敦賀で新幹線と在来線特急の乗り換えが発生し,関西や中京との往来が不便になったことへの批判や懸念が強い.沿線では観光面の効果以外にも,デジタル化の進展,企業の研究開発拠点の建設といった注目すべき変化が起きている.
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