2023 年 78 巻 5 号 p. I_753-I_759
我が国では,飛行経路短縮等の運航方式の改善によって,航空分野における CO2 を 10%削減することを目標にしている.しかし,実際にどの程度の削減効果が見込めるかということは定量的に明らかにされていない.また,CO2 排出量を考慮すると,現状よりも最適な機材・便数の選択が必要になる可能性もある.そこで,本研究では飛行経路の短縮及び機材・便数選択による CO2 削減ポテンシャルの推計,加えて乗客・航空会社に与える影響を同時に分析することとした.その結果,国内航空ネットワークでは現実的な飛行経路短縮のみでは 10%削減の達成は容易ではない可能性を示しつつ.抜本的な経路・空域設定の改善の必要性や機材・便数選択による CO2 削減のポテンシャルおよびその改善の必要性を定量的に示した.