抄録
ヒノキ6クローンを用いた二面交配家系の10年次の樹高と根元直径を調査し,組合せ能力について検討した。樹高,根元直径ともに一般組合せ能力および一般組合せにおける正逆交雑の差が認められ,根元直径においては特定組合せ能力も認められた。正逆交雑の差が認められたのは,母樹として使用したとき成長が低位であるが,花粉親として使用したとき上位となるクローンが存在したため,および根元直径は花粉親に比較して母樹の違いによって大きく異なったためである。これらのことから,成長形質の育種を進める上で,一般組合せ能力だけでなく,その正逆交雑の差,および特定組合せ能力にも配慮が必要であることが示唆された。