抄録
同一林内のコナラ,ナラガシワ,クヌギおよびアベマキの堅果への虫害を調査した。堅果の落下の季節的変化,落下前の加害昆虫相と加害率はコナラ節とクヌギ節で異なっていたが,同節内の樹種問ではほぼ一致していた。落下数はコナラ節がクヌギ節より多かったが,落下堅果のバイオマスに差はなかった。コナラ節は発育不全含む子葉の変質果とゾウムシ類による未熟堅果への吸汁虫害が多かった。特にコナラで吸汁虫害が多く,アベマキで少なかったため,無被害果のバイオマスは落下数が最も多かったコナラで最も低く,逆に,落下数が最も少なかったアベマキで最も高かった。落下後の虫害は4樹種全てで同様に生じた。