抄録
鳥取県の海岸クロマツ林36ケ所で林分構造と広葉樹の侵入状況に関する調査を行った。クロマツ林の上層に出現した広葉樹は,砂地に成立するクロマツ林とクロボク上に成立するクロマツ林とで種組成や種数などに違いがみられた。クロボク土で出現率が高かったのはタブノキやモチノキなどの常緑広葉樹であった。一方,砂地で出現率が高かったのは,ハゼノキやヤマザクラなどの落葉広葉樹であった。クロボク土のクロマツ林では,植栽されたクロマツが枯死した後,次第にシイ-タブ林へ移行していくと考えられる。砂地のクロマツ林は当面,上層に落葉樹が優占する広葉樹林へ移行すると考えられ,その後シイ-タブ林に移行してゆくものと考えられた。