抄録
ジャワ島のマツ人工林でのチェーンソーを使った伐採作業は労働集約的な森林作業である。この状況と出来高支払いは不適当な作業条件を作り出す。2004年6月に行った調査では,作業能力,労働負担および作業能率を評価した。労働負担を測定するため,3人のチェーンソーオペレータの心拍数を用い,そのデータをエネルギー消費量に換算したが,今回は新しく%VdotO_2max(最大酸素摂取量のパーセント)に換算し,労働負担を考察した。その結果,オペレータA,BおよびCのVdotO_2maxはそれぞれ4,335, 3,220, 2,122ml/minで,オペレータCの体力の低いことが判った。また,z検定の結果によるとチェーンソーの重量,振動および騒音は労働負担に影響を示した。実作業時の作業負担(オペレータA,BおよびCはそれぞれ50,47および71%)は許容上限基準より高かった。タイムスタディ分析の結果による実作業の中には作業時間を浪費する要素作業があった。この作業が縮小すれば,休憩時間が増えることになる。休憩時間が増えると,労働負担が低減する可能性がある。また,軽い重量のチェーンソーを使って,実作業時の労働負担を低減する可能性もある。