森林応用研究
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森林の経営管理に与える森林認証制度の諸影響について : 国内の2認証スキーム(SGEC,FSC)の認証審査結果分析から
坂本 朋美芝 正己
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2009 年 18 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

2008年10月現在,FSCまたはSGEC認証森林は1,006,612haに上っている。森林認証制度の目的は持続可能な森林管理の促進であり,その意義を評価する上で,認証が森林管理に与える影響を調査することが重要である。本論文では56森林のSGEC認証審査の際に改善が求められた事項とその改善状況から,認証による森林管理の変化を評価した。さらにFSC認証審査結果との比較を行い,各制度の審査の特質を考察した。SGEC認証審査においては,生物多様性の保全が特に重視されていることが確認された。なお審査機関により重視する基準が異なる傾向も見て取れたFSC同様,モニタリングと水域管理が主要課題となっており,これらは日本林業の共通問題であると考えられた。FSCと比べ公開されている情報量は少なかったものの,認証後の監査では,結果が公開されていた全森林で指摘事項の改善が確認されており,FSC同様,SGECの取得が森林管理の向上に効果を持つと考えられた。今後は森林管理者や消費者が目的や理念に応じて制度を選択できるよう各制度の独自性を鮮明にし,共に森林管理の向上に寄与していくことが望ましい。

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© 2009 応用森林学会
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