森林応用研究
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森林応用研究 24巻2号
野球用木製バットの材種と流通
𦚰田 健史松下 幸司
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2015 年 24 巻 2 号 p. 19-27

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抄録

野球用木製バット(以下、バット)の材種と流通の現状と変遷を明らかにするため、国内主要バット工場6 社への聞き取り調査及び文献調査を実施した。材種に関しては、1979 年に国内製造されたバットはほぼ全量が北海道産材であったが、2005 年頃を境に、北海道産アオダモから北米産・中国産メイプル、中国産モウソウチクへと移行し、現在は外材が少なくとも約70%を占めていると推計される。流通に関しては、以下の点が明らかになった。外材の増加により、1985 年に比べ、北海道のバット材工場数が激減した。バット工場については、メーカーの下請けを維持する工場とメーカーの下請けから脱却する工場の二極化が起こっている。さらに、1985 年には、国内で加工・製造されていたバットが、現在では、バット材加工の多くが海外へと移行し、バット製造工程の一部も中国へ移転し始めていることが明らかになった。また、販売方法としては、インターネット販売が新たに登場した。このような状況で北海道産アオダモによるバット生産を継続するためには、アオダモの育成だけではなく、原産国表示によるブランド力の維持も重要ではないかと考える。

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© 2015 応用森林学会
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