過去に樹高(H)と胸高直径(DBH)から樹冠葉量(WLDH)を推定するD2H式が作成された京都市内のヒノキ林分において,樹冠葉量をH,生枝下高(HB),DBHから推定する方法(AB 式)を用いて推定した。斜面位置の異なる3つの林分においてAB 式から推定した樹冠葉量(WLAB)とWLDH を比較した。2つの式はDBH が20.5cm 未満の個体で作成されたため,DBH が20.5cm で区分して2 式の結果を比較した。DBH が20.5cm 未満の個体ではWLAB はWLDH とほぼ同じ値を示した。DBH が 20.5cm以上の個体では両者の差異が大きく,HBが高い斜面上部ではWLDHの方がWLABより大きく,HBが低い斜面中部ではWLDH よりWLAB の方が大きかった。D2H 式よりAB 式の方が枝の枯れ上がりに対応した樹冠葉量の推定が可能と考えられる。全個体のWLABは斜面上部,中部,下部でそれぞれ14.1,16.4,15.3 Mg ha-1を示し,WLDHではそれぞれ17.1,15.1,16.2 Mg ha-1を示した。全個体のWLABを落葉量で割って算出した葉寿命は5.1~6.8 年で,斜面上部ほど長かった。