零細な所有構造や木材価格の低下による林業の担い手の減少、森林管理水準の低下、再造林率の低迷といった構造的課題に加え、花粉症対策としてスギの位置づけが不透明化している一方で、地球環境問題への対策としての森林の多面的機能への社会的関心が高まっている。本稿では、こうした状況の下で、森林や林業に関する課題を包括的に捉え、国際的に存在感を高めつつある持続可能性移行論にも接続しうる大きな認識枠組みとして、「社会・生態・技術複合系(SETS)としての森林の断続平衡」を提示した。この枠組みは、持続可能性科学・学際科学の老舗である森林学の進化への意義を有する。