1997 年 6 巻 p. 21-24
鳥取県西部大山南斜面に位置する薪炭材採取後の落葉性広葉樹二次林を調査し,この森林の動態と再生様式について考察した。全調査プロットにおいて相対優占度に基づきクラスター分析を行った結果,ブナが優占するプロット(Fc),ブナが優占し,主にミズナラと混交するプロット(FQ),ブナ以外の樹種が優占するプロット(Mix)の3グループに区分できた。各プロットのブナの相対優占度が高くなると樹種数と種多様度が低下する傾向が認められ,ブナが樹種多様性に大きく影響していると考えられた。上層木の林分構造および稚・幼樹の生育様式についてMixタイプ,FQタイプのプロットを比較したところ,それぞれのプロットにおいて林分構造は異なっていたが,稚・幼樹はササの有無に関わらずブナが優占していた。この結果から,ブナ以外の樹種の更新は困難であり,この森林ではブナが優占する林分構造へと推移していくと考えられる。