森林応用研究
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鳥取大学蒜山演習林における広葉樹林の構造と動態
佐野 淳之武田 信仁大塚 次郎
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1997 年 6 巻 p. 17-20

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抄録

落葉性広葉樹林の林分構造と動態を明らかにするため,鳥取大学農学部附属蒜山演習林の二次林に10個のプロットを設置し,胸高直径4cm以上の樹木を対象に毎木調査を行った。プロット全体では,出現した樹種は18科40種,個体数(萌芽幹を含む)は992であった。樹種の優占度(胸高断面積の割合)は,ブナ科だけで61.2%を占め,特に,コナラとミズナラの割合が高かった。これらはサイズ分布の上層を占め,その他の科に属する樹種は下層に多かった。萌芽指数(萌芽幹数/主幹数)は,エゴノキ,ソヨゴ,アオハダが高く,ブナ科に属する種の萌芽指数は相対的に低い値を示した。D-H関係は,拡張相対成長式によく当てはまった。その係数hは,主幹のみの場合よりも,萌芽幹を含めた全体で回帰したときの方が1に近く,より安定したサイズ構造を持つことが示唆された。それぞれの樹種の優占度に基づく多様性指数(H')の値は,全体で3.432と高い値を示し,より未発達の林分は種数およびH'が低く,発達した林分ほど高い傾向が認められた。蒜山演習林の二次林は,森林の発達段階における樹幹淘汰期から下層再成期に相当すると考えられた。

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© 1997 応用森林学会
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