森林応用研究
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鳥取県におけるナラ類の集団枯損及びカシノナガキクイムシ穿入木の材含水率
西垣 眞太郎井上 牧雄西村 徳義
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1998 年 7 巻 p. 117-120

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抄録

鳥取県において,1994年〜1996年の3年間,ナラ類枯損状況の分布調査を行った結果,1994年では枯損地域は鳥取県の東部海岸沿いの4市町村に限定されていたが,1996年には岩美町でそれまでの単木被害から集団枯損に変化し,単木被害地域も地域の南側の郡家町に拡大した。これらの被害木にはカシノナガキクイムシの穿入が認められたが,枯死した個体には集中的な穿入孔が認められた。被害地内に2箇所の調査プロットを設けてナラ類の枯死状況を調査したプロットNo.1でコナラよりミズナラのほうが枯死木が多いこと,枯死したミズナラでは肥大成長が大きいことが明らかになった。しかし,No.2ではこれらの関係は明らかでなく,胸高直径での比較より根元径の比較が必要と考えられた。材含水率は個体によって差があり,また,測定時の気象条件によって測定値が変動するが,当初高い個体は高く推移し,低い個体は低く推移した。枯死木の材含水率の推移は健全木10本の測定値の幅の中にあり,材含水率の時間的変化は枯死に至る経過の指標にはならなかった。

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© 1998 応用森林学会
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