森林応用研究
Online ISSN : 2189-8294
Print ISSN : 1342-9493
ISSN-L : 1342-9493
7 巻
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  • 原稿種別: 表紙
    1998 年 7 巻 p. Cover1-
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1998 年 7 巻 p. App1-
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1998 年 7 巻 p. App2-
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1998 年 7 巻 p. i-
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1998 年 7 巻 p. App3-
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1998 年 7 巻 p. Toc1-
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 寺尾 紀彦
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 1-4
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    インターネットは急速に発展を続けているが,なかでも情報検索のツールとして開発されたWWW(World Wide Web)はユーザインターフェースに優れており,広く普及している。本研究では,WWWを利用した森林・林業分野のホームページ検索とE-mailを利用したアンケートを行い,森林・林業分野における情報提供の現状について検討した。検索されたホームページを運営主体から「産業」,「行政」,「研究・教育」,「団体」,「個人」に分類し,情報提供の傾向を分析した。「産業」はある程度の商用目的,「行政」は地域紹介,「研究・教育」は蓄積した情報の活用,「団体」は目的意識の共有という特徴が見られた。「個人」では明確な傾向は見られなかった。こうした運営主体ごとの傾向にはそれぞれの情報化に対する取り組みの差異が反映されており,森林・林業分野に対する社会の情報ニーズに十分対応しているとはいえない。森林・林業分野が多様な社会的役割を果たすために情報提供のサーバ運用者は,森林や林業に関心あるいは関わりをもつ組織や個人の情報ニーズに対応しなければならない。
  • 宇津木 孝文, 黒川 泰亨
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 5-8
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    素材価格と材質との関係を数量化I類で解析した。素材の落札価格を外的基準とし,材長,直径,曲がり,節の出現状況,材色,年数,採材位置,年輪形をアイテムとして採用した。解析の結果,重相関係数=0.8465となり上記8アイテムによって価格変動の約72%が統計的に説明された。素材価格と強い相関を持つアイテムは,節,採材位置,曲がり等,また弱い相関を持つものは直径,年数,年輪形,材長,材色等となった。価格形成に対する各アイテムの影響度の順位や各カテゴリーの持つスコアは,高価な価格が期待できる素材の生産のための育林技術の開発や技術の体系化に対して大きい意義を持つといえる。
  • 幡 建樹
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 9-12
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    大都市圏のひとつである大阪府を取り上げ,聞き取り調査とアンケート調査の結果および統計資料から,製材業の実態と大阪府内で生産された素材の流通を明らかにするとともに,大都市圏の製材業と地域産材の結びつきについて考察を行った。大阪府には国産材一般建築用材を大量に見込み生産し,製品市場や問屋へと出荷するような工場はなく,府産材は主として製品の仕入販売に経営の重点をおく小規模な小売製材によって消費されている。こうした工場は非規格品や急な調達を必要とするいわゆる注文材を主体に製材しており,ヒノキの芯持ち柱や造作類,スギの芯持ち柱や板類,小割類,マツ・米マツの横架材などを少量ずつ生産している。高級住宅建築需要に支えられて非規格品需要が比較的多く存在することから,小売製材は府南部を中心に数多く存在している。こうした小売製材と府産材を結び付ける機構として,大阪府産材の約7割を集荷する大阪府森連木材センターが重要な役割を果たしている。
  • 都築 伸行, 山田 茂樹, 松村 直人, 志賀 和人
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 13-16
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    林業をめぐる諸条件の悪化により適正な管理が行われていない森林が増加している。この対策の一つとして森林組合による受託管理が考えられるが,この場合,森林の所有界が確定されていることが望ましい。しかし,多くの地域で国土調査は終了しておらず,計画では終了までに数十年かかる地域もある。この間に世代交代や不在村化がさらに進行すれば,所有界の確定はより困難となろう。徳島県では,森林所有界の確定と周囲測量を行う「森林受託管理システム推進モデル事業」が始められた。この事業の実態の把握と問題点についての検討を行った結果,以下のことが明らかになった。両町でこの事業が推進された理由は,(1)町と森林組合の協力関係があったこと,(2)所有者の協力が得られたことであった。問題点として,(1)所有界に詳しい高齢者の減少,(2)世代交代に伴い所有者の協力が得にくくなることなどが指摘できた。
  • 大代 朋和
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 17-20
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    本報告では,森林のレク利用者の森林に対する意識と,一般市民の森林に対する意識の違いを明らかにすることを目的としている。大阪府の森林の多い上流域と都市化された下流域において住民を対象に1996年12月に行った調査結果と,森林そのものがレクリエーションに利用され,リピーターが多い京都大学芦生演習林において訪問者,利用者を対象に1997年5月および8月に行った調査結果との比較を行い,次の点が明らかになった。1)芦生演習林利用者と実際に林業をしている上流域の人とでは森林に対する意識が異なる。2)芦生演習林利用者は都市化された下流域の人と同様に,環境を改善し動植物の生きる権利を守ろうとする気持ちが強い。3)芦生演習林利用者の中でも特にリピーターは,森林に関する情報への関心が高く,森林の機能や自然力を高く評価している。
  • 西川 理子, 西川 公也
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 21-24
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    滋賀県の民有林における森林機能の把握と地域に応じた評価手法を確立することを目的とし,GISを用いて木材生産と水源かん養機能について機能評価を行った。その結果,滋賀県の民有林で木材生産機能の高い森林は,スギで37.9%,ヒノキで73.6%,水源かん養機能の高い森林は,65.5%であった。また,この評価結果は,土壌と地質条件に依存していた。森林の機能評価にGISを用いることは,複雑な地理的情報を処理するという点において非常に適しているが,図面データの精度や数量化を行う際に生じる問題点を抱えているため,検証を重ね,GISを用いた機能評価手法の信頼性を高めていく必要がある。
  • 小谷 英司, 松村 直人
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 25-30
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    GISを導入し,運用しているY町森林組合の事例分析を行い,GISの導入と運用上での問題点を明らかにした。Y町の地籍図は国土調査が完了しており,林家台帳,森林簿,施業履歴簿などの記録もよく整備されているために,GIS入力データ源の測量精度と,帳簿などの森林の属性情報の精度が高く,従ってGISの出力結果も精度が高くかつ詳細なものとなっている。ここから,GISのデータ源を高い精度で整備することが必要と考える。GISの導入過程と運用での人の役割を分析すると,導入合意形成者,予算獲得者,設計者,教育者,障害対応者,利用体制指揮者,優秀な利用者,システム開発業者が挙げられ,これらの役割が導入と運営に必要と考える。GISの利用が実験的段階にある現状では,成果を確かめつつ段階的に開発し導入する必要があると考える。GISデータの維持更新のために,GISを日常業務で使っていく事が大切と考える。
  • 松村 直人, 小谷 英司
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 31-34
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    地球環境問題への関心の高まりとともに,科学的な基礎データを取得するためのモニタリングの重要性が増している。また,林業技術関連では,長伐期化の進行や流域管理システムの導入によって,高齢林の管理手法の検討や流域を単位とした資源情報の蓄積が求められている。全国的な調査事業や四国地域を対象とした各種試験地調査資料をデータベース化し,全体を見通す統合的なデータ管理システムについて検討した。
  • 潘 暁東, 山本 誠, 後藤 純一
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 35-38
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    林道幾何構造を人間工学的に評価する場合,運転者の血圧変動に注目することが有効である。最高血圧に加えて脈圧が心理的影響に関して有効な評価尺度として用いることができる。車両の走行速度が高くなるにつれ,脈圧の変動係数が増加する傾向が認められた。特に小半径の曲線部では,両者の相乗効果も作用して,特に顕著になる。転向方向に関しては,右山回りは左山回りより脈圧の変動係数が常に高くなることが分かった。曲線半径に関しては,半径が小さくなるにつれ,また,走行速度が高くなるに従い,脈圧の変動係数が大きくなる傾向がある。曲線半径20m前後以下の小半径の設定は,脈圧に大きな変化が見られ,心理的に大きな負担を強いることが分かった。このように脈圧は,精神的圧迫に対して鋭敏な反応を示すことから,最高血圧の変動を主たる評価尺度とし,脈圧を精神的負担が強く負荷される条件下に脈圧を補足尺度に使用することで,より高精度の評価が可能になる。
  • 金子 真司, 深山 貴文, 荒木 誠, 古澤 仁美, 鳥居 厚志, 西本 哲昭
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 39-42
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    滋賀県志賀町の四ツ子川の本・支流において水質の変動について調査を行った。その結果,無機イオンのほとんどは変動係数が20%以下ときわめて安定していることが明らかとなった。しかしNO_3^-濃度,溶存有機炭素(DOC)濃度COD_<Mn>(化学的酸素要求量),BOD(生物化学的酸素要求量)は変動が大きかった。渓流水の水温は気温に比べて年較差は小さかったが,1年間の変化のパターンは気温のそれとほぼ同じであった。渓流水の水温とpH,K^+およびDOC濃度には正の相関が認められ,水温とCl^-濃度には負の相関がみられた。流出量とNO_3^-濃度は正の相関が認められ,流出量とF^-濃度には負の相関が認められた。
  • 田 興軍, 武田 博清, 安藤 辰夫
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 43-48
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    亜高山針葉樹林における落葉分解過程の研究をリターバッグ法を用いて,岐阜県御岳山で行った1994年11月針葉(Abies manriesiiとAbies veitchii)と広葉(Betula ermaniiとB. coryfolia)を封入したリターバッグをプロット(20×20m)にそれぞれ110個設置した。95年6月から96年11月の生長季節の間,月に1回それぞれ10個リターバッグを回収した。回収したリターバッグ内のリターを樹種別に分け,重量を測った。乾燥したリターを粉砕し, C,N,K,Ca,Na,Mg濃度を測定した。二年後,針葉と広葉はそれぞれ約41%と56%の重量減少を示した。炭素は濃度が針葉と広葉ともに分解期間中約50%で安定し,重量減少がリターと同じ指数式で表わせた。Nは重量減少に伴い濃度が増加し,絶対重量は分解初期に変化せず,後期に減少した。CaとPとNaの動態はほぼ同じ様式を示した。絶対重量は最初増加し,後で分解に伴い減少した。KとMgは分解初期に多く溶脱され,減少したが,その後大きな変化は見られなかった。分解開始時,広葉リターの養分濃度は針葉リターより高かったが, 22カ月の分解を経てほぼ同じ濃度に達する傾向が認められた。
  • 丹原 哲夫
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 49-54
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    雑草木の繁茂を抑制してヒノキを育成するために,1991年から'95年に落葉広葉樹-ヒノキ,アカマツ-ヒノキ二段林施業について実証的な試験を実施した。林内の下層植生量は相対照度の低下に対応してパラレルに減少する傾向であったのに対し,ヒノキの成長の低下は比較的小さかった。しかし,相対照度が約7%以下に低下したらヒノキの成長は著しく抑制された。また,相対照度約15%以下では形状比が著しく高くなった。これらのことに関連し,試験地のヒノキの光-光合成特性を調査した結果,ヒノキの光飽和点は相対照度約50%であった。アカマツ林内の相対照度は30〜60%の安定した値を示し,雑草木の繁茂を抑制してヒノキを育成する好適な照度条件であった。一方,うっ閉した落葉広葉樹林においてヒノキを育成するためには受光伐が必要である。その相対照度は年とともに低下したが,相対照度が高いほど低下の程度は大きかった。しかし,落葉広葉樹林下の相対照度は約5%以下には低下しなかった。
  • 山下 多聞, 高本 麻衣子
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 55-58
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    島根大学匹見演習林は,島根県の西端部標高1,000m前後に位置し,中国山地の中でも最も積雪の多い地域である。約30年前に広葉樹を皆伐しスギを3,000本/haの密度で植栽した。昭和55年と昭和63年に下層を全刈りしスギ以外の個体を整理し,その後8年間は刈払いをまったく行わなかった。この林分に20m×16mの調査地を設け,調査地内に出現する樹高1.3m以上の木本のDBHと樹高を測定した。また落葉の前後に林内照度を測定した。調査の結果,造林木を含め44種860本が観察された。胸高断面積合計(BA)は35.2m^2/haで,立木密度は26,875本/haであった。一年あたりのBAの増加量はスギで1.09m^2/ha/yr,広葉樹で0.59m^2/ha/yrであった。落葉後の相対照度の分布は9%から45%とバラツキが大きくパッチ状に広葉樹が侵入していることがわかる。広葉樹の成長は必ずしも小さくなく,今後は有用広葉樹を中心に残して混交林化をはかることは有意義であると考える。
  • 吉野 豊, 前田 雅量
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 59-62
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ケヤキ苗木を4水準の異なる密度(2,500, 4,500, 7,000, 10,000本/ha)に植栽した試験地の7年生までの生育状況を調査した。7年生の時点で高密度区(7,000, 10,000本/ha)は,ほぼ閉鎖していたが,低密度区は(2,500, 4,500本/ha)はまだ閉鎖に至らず,下層植生,なかでもススキが優占していた。樹高および胸高直径は高密度区の方が低密度区に比べ,大きかった。この原因としては,高密度区で早くから閉鎖し,競合するススキが減少したことによると考えられた。さらに,高密度区の方が低密度区に比べ,下枝の枯れ上がりが進んでおり,幹の細りが小さく,通直な木の割合も高かった。これらの結果からケヤキの植栽密度は7,000本/ha以上が望ましいと考えられる。
  • 谷口 真吾
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 63-66
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    部分的に根倒れ被害が発生した14年生ヒノキ一斉林を対象に1996年2月,被害地周辺の残存木を伐採し,大きさの異なる人工ギャップを7カ所つくり,そこにケヤキ苗木を植栽した。ケヤキの伸長成長はギャップ内の植栽位置で変化する積算日射量によって著しく影響を受けた。すなわち,相対積算日射量が高いほどケヤキの伸長成長量は大きかった。ギャップの周囲が一部でも開放されている形状のギャップでは,植栽位置の違いによっても相対積算日射量は低下しにくく,林縁近くのケヤキの成長も良かった。これはギャップの形状次第では,孔状地の小面積造林地がうまく造成できる可能性を意味するものである。
  • 橋詰 隼人, 谷口 真吾
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 67-70
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    郷原漆器には材部直径16cm以上のクリ材が用いられている。天然木の伐倒調査から胸高直径が25〜30cmになれば,平均6mの漆器用材が収穫できることがわかった。天然木および人工林の成長成績からみて,適地に造林すれば40〜50年で漆器用材として伐採可能と判断された。漆器材には偏心材や節の部分は使用できないので,人工造林に際しては雪起こし,枝打ちなどの手入れが必要であり,さらに間伐によって肥大成長を促進することが重要であると判断された。
  • 酒井 武, 倉本 惠生, 大黒 正, 田淵 隆一
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 71-74
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ヒノキ,ツガ,モミなど温帯性針葉樹を主体とする成熟した林分で,1994年秋から1997年春までのヒノキ,ツガ,モミの種子散布と実生の発生.消長について調べた。ヒノキ,ツガは1995年が豊作と考えられ,その翌年春に実生の発生がみられた。モミは,1994年,1995年に種子散布が行われて1995年,1996年に実生の発生がみられた。1996年は3種とも種子散布が少なく,1997年に実生の発生はみられなかった。春から初夏にかけて発生した実生は秋までに多くが死亡したが,秋まで生存した実生はほとんどが翌年春まで生き残った。発生した実生の1年後の生存率は,モミ,ツガ,ヒノキの順に高かった。傾斜の急な斜面では,ヒノキ,ツガの実生は100%死亡した。ヒノキの実生はギャップでのみ生存した。ツガでは林内でも生存した実生があったがギャップで生存率が高かった。モミは,傾斜が急な斜面でも生存できる個体があった。これら実生の生態的特性が地形によって林分構造が異なる一因と考えられた。
  • 中村 誠幹, 網倉 和弘
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 75-78
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    植栽木に筒状のツリーシェルターを被せる,いわゆる「チューブ法」を用いるシカの食害防止の効果を検証するため,バイトカルチャー(株)製の「ヘキサチューブ」を使用して,スギ及びヒノキをチューブで被覆した「被覆区」と被覆しない「対照区」の食害率,枯損率及び樹高生長を調査した。その結果,(1)食害率は,対照区でスギ80%,ヒノキ100%に対して,被覆区ではそれぞれ0%,7%で,チューブ法による食害防止効果の高いことが確認された。(2)枯損率は,スギでは被覆区(8%)が対照区(27%)を大きく下回ったが,ヒノキでは両試験区とも10%強で大差はなかった。(3)平均樹高については,スギで被覆区が対照区の2倍以上,ヒノキで3倍以上に達した。一方,被覆区で屈曲木の発生が観察され,特にヒノキの発生率(48%)が高かった。シカ等の野生動物と林業との共存が重要な課題となっている中,チューブ法はこのための有効な手段として期待できる。
  • 倉本 惠生
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 79-82
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ミズナラ林冠木の樹冠頂部における,シュートの生産と脱落および脱落シュートのパターンを調査した。1992年から1994年までの3年間における調査木3本のシュート生産は,1前年枝あたり約1.7本から約1.9本であった。1年を着葉期と落葉期に分け,調査期間を合計5つの時期に区分し脱落率を求めた。各時期の脱落率は,最大値44%を除けば,14から23%と約20%前後にあった.年間あたり生産されたシュートの約半数が脱落していた。シュートの脱落パターンを形態から3つのパターンに区分した。当年部単独で落ちていくタイプはかなりの割合を占め,その大半は側芽起源のシュートであった。シュートを含む単軸の脱落枝も多く見られ,その大半は1年枝で,次いで2年枝が多かった。シュートの脱落が高頻度で起こっており,しかも回転時間が短いと推定される。
  • 藤木 大介, 玉井 重信, 山中 典和
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 83-86
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    林床のような制限された光環境下で生育している低木の株の維持機構を,我が国の代表的な低木種であるクロモジを用いて主に物質収支の面から考察した。クロモジの株現存量が大きくなるにつれ株の年間材積生長量は急激に増加するが,その後次第に増加率が徐々に小さくなり,物質収支が悪化していくことが認められた。物質収支が悪化した株では地上茎間で材積生長が同調的な変化ではなく相互に異なる変化を示した。また,各地上茎の生長率は年齢とともに急激な減少を見せたことから,地上茎間では同化産物の転流が起こり,特に若齢の萌芽地上茎は親株からの同化産物の供給に強く依存していることが考えられた。当年生萌芽の伸長生長量は個体間での分散は大きかったが,その最大値は株サイズと比例して大きくなることが認められた。また,当年生萌芽のうち伸長生長が大きかった個体が後に低木層の構成個体となり残存していた。同一株内で発生した複数の当年生萌芽の中で伸長生長量が大きな個体は後続樹としての役割を持ち,小さな個体は大きな個体死亡時の保険機能的な役割を持つことが示唆された。
  • 酒井 敦
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 87-90
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    一年生つる植物の物質生産過程,物質分配様式に支柱の有無が及ぼす影響を検討した。つるあり種およびつるなし種のインゲンマメを栽培し,つるあり種には地上高1.5mの支柱を立てた有支柱区と支柱を立てない無支柱区を設け,成長解析を行った。播種後70日目の個体乾重は,つるあり有支柱区は平均で60g,つるあり無支柱区は平均で43gであり,有支柱区が有意に大きかった。有支柱区では生産構造が鉛直方向に発達し,光を効率的に利用できるので成長量が大きくなったと考えられた。逆に無支柱区では,葉が地面の近くに密生するため葉層下部の光環境が悪くなり,成長量が低下したと考えられた。つるあり種において,相対成長速度(RGR)および純同化率(NAR)の経時変動パターンは支柱の有無に影響を受けなかった。つるなし種はつるあり種に比べ成長初期におけるRGRが大きい反面NARは大きくなく,品種による物質生産過程の相違が示唆された。また,つるなし種は地際直径が大きく地下部への分配率が高いことから,自重を支える生活に適応していると考えられた。
  • 丹原 哲夫, 中島 嘉彦, 岡本 安順
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 91-96
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    岡山県に造成しているマツノザイセンチュウ抵抗性アカマツ採種園(1985年造成)の構成クローンについて,種子生産性と実生後代の抵抗性を調査した。採種園の種子生産量は'91年から'95年にかけて増大し,'95年には約4.5kgであった。しかし,'96には約0.5kgに減少した。クローンの種子生産性には高い年次相関が認められた。また,本採種園では少数クローンでの種子生産割合が高く,上位5クローンで全体の約50%が生産されていた。つぎに,苗畑および温室内で家系苗に対しマツノザイセンチュウの接種試験を行った。被害状況は試験年次,場所によって大きく異なり,抵抗性マツ家系の平均生存率は約20〜95%であった。それとともに家系間にも違いが認められた。抵抗性マツと従来種を比較したところ,発病しにくい条件では明確な違いが認められたが,発病しやすい条件では多くの家系が枯損し違いが認められなかった。これらの結果より,抵抗性マツクローンについて,種子生産性と実生後代家系の抵抗性の面からランク付けを行った。
  • 谷口 真吾
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 97-100
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    1994年から1996年までの3カ年間,兵庫県美方郡美方町のトチノキ自生木1個体について,当年枝または大枝(基部直径約10〜30cm)単位での繁殖様式を捉え,個体内レベルでの繁殖器官の着生数の年次変動を解析した。トチノキは開花した枝の頂芽から伸びた当年枝のすべてが次年にはまったく開花せず,当年枝レベルでは2年連続で開花することはなかった。当年枝の集合体である大技は,盛んに開花を行う大枝とほとんど開花しない大枝とがあることが認められた。これらの結果から,トチノキは当年枝または大枝単位で開花の有無が調節されている可能性がある。
  • 藤田 徹, 中村 善剛, 上家 祐
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 101-104
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    培養菌糸を用いたホンシメジの林地栽培を試みた結果,殺菌剤で土壌微生物汚染を防御することにより菌根形成に成功した。同じ方法で7林地34箇所で子実体形成試験を試み,接種3年後に3林地5箇所で成熟子実体の発生を確認した。
  • 藤原 直哉
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 105-108
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    検定用のクローン苗を得るためと育種材料を確保するためヤマウドの組織培養を行った。ヤマウドの葉片を材料に用いた場合,カルスの形成には,2,4-D0.5mg/l含むMS寒天培地が適していた。カルスの形成ついて,培養期間に顕著な差は見られなかった。形成されたカルスをホルモンフリーの1/2MS寒天培地または,1/2MS液体培地に移すと胚様体を生じ,それからクローン苗が再生した。しかし,胚様体には多くの変異個体が見られ,培養中に正常な個体を選抜する必要があった。岡山県内から採取した13系統のヤマウドでは,再生率は系統により大きく異なった。また,再生苗の加湿による順化を試みたが,非常に困難であった。
  • 上田 明良
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 109-112
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    誘引トラップで捕獲調査をする際,調査目的の昆虫が最も効率よく捕獲できる高さをあらかじめ知っておくことは重要である。京都市伏見区の様々な樹高の5つのマツ林において,その林緑木各1本の高さ1,4,7,10mにマダラコールを用いた誘引トラップを設置し,甲虫類を捕獲した。20頭以上採集された12種のうち,オオナガコメツキ,マツアナキゾウムシ,クロコブゾウムシ,マツノシラホシゾウムシとオオゾウムシは,1m高のトラップに集中した。オオコクヌストは,4・7m高に多く捕獲された。クシコメツキは設置高にかかわりなく捕獲された。サビカミキリとクロカミキリは1m高に多かったが,樹高約20mの調査林では4・7m高にも多かった。マツノマダラカミキリは高いところに多い傾向がみられた。シロヒゲナガゾウムシは4m以上の高さに多く,ニセマツノシラホシゾウムシは樹高10m以下の調査林に高さにかかわりなく集中して捕獲された。総捕獲数をみると,いずれの調査林でも1m高に多かったが,樹高約20mの調査林では4m高にも多かった。また,梢端部近くに設置されたトラップの捕獲数は極端に少なかった。
  • 上田 明良, 藤田 和幸
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 113-116
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    α-ピネン, β-ピネン,-β-ピネン,エタノールおよび蒸留水を単体で用いた誘引トラップで,オオコクヌストとその他の甲虫を捕獲した。オオコクヌストはα-ピネンと-β-ピネンに強く誘引された。β-ピネンとエタノールにわずかの個体が誘引されたが,蒸留水ではまったく捕獲されなかった。また,5月7〜14日採集の雌成虫を解剖したところ,多数の成熟卵を卵巣内にもっている個体がみられた。その他の甲虫類をみてみると,シロヒゲナガゾウムシとササセマルヒゲナガゾウムシがエタノールに,ニセマツノシラホシゾウムシがβ-ピネンと-β-ピネンに,マツクチブトキクイゾウムシがβ-ピネンに顕著に誘引された。キクイムシ科ではキイロコキクイムシがβ-ピネンとエタノールのいずれにも,フィリピンキクイムシがα-ピネンに,養菌キクイムシ類がエタノールに誘引された。
  • 西垣 眞太郎, 井上 牧雄, 西村 徳義
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 117-120
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    鳥取県において,1994年〜1996年の3年間,ナラ類枯損状況の分布調査を行った結果,1994年では枯損地域は鳥取県の東部海岸沿いの4市町村に限定されていたが,1996年には岩美町でそれまでの単木被害から集団枯損に変化し,単木被害地域も地域の南側の郡家町に拡大した。これらの被害木にはカシノナガキクイムシの穿入が認められたが,枯死した個体には集中的な穿入孔が認められた。被害地内に2箇所の調査プロットを設けてナラ類の枯死状況を調査したプロットNo.1でコナラよりミズナラのほうが枯死木が多いこと,枯死したミズナラでは肥大成長が大きいことが明らかになった。しかし,No.2ではこれらの関係は明らかでなく,胸高直径での比較より根元径の比較が必要と考えられた。材含水率は個体によって差があり,また,測定時の気象条件によって測定値が変動するが,当初高い個体は高く推移し,低い個体は低く推移した。枯死木の材含水率の推移は健全木10本の測定値の幅の中にあり,材含水率の時間的変化は枯死に至る経過の指標にはならなかった。
  • 井上 牧雄, 西垣 眞太郎, 西村 徳義
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 121-126
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    カシノナガキクイムシとヨシブエナガキクイムシのコナラとミズナラの生立木,枯死木および丸太における穿入状況と成虫の脱出状況を調べた。両種とも穿入孔密度は健全な寄主の方が衰弱した寄主や枯死した寄主よりも低く,この傾向はカシノナガキクイムシよりヨシブエナガキクイムシでより強かった。成虫は,両種とも生立木からは穿入孔があるにもかかわらず,まったく脱出しなかった。枯死木からは多くの個体が脱出した。脱出期は両種とも6〜11月で,カシノナガキクイムシの方が少し早く脱出した。丸太からは,伐採時に健全であったコナラからヨシブエナガキクイムシはまったく脱出しなかったが,カシノナガキクイムシは丸太を採取した年に多くの個体が脱出した。伐採時に衰弱していたミズナラ丸太からは両種とも多くの成虫が脱出したが,状況は丸太によって異なった。今回の調査から,カシノナガキクイムシとヨシブエナガキクイムシはともにコナラとミズナラの生立木を攻撃するが前者の方がより健全な寄主も攻撃する傾向があること,また,両種とも生立木での繁殖は困難で,攻撃の翌年に新成虫と推察される個体が脱出してくるのは衰弱木あるいは枯死木に限られることが示唆された。
  • 上田 明良
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 127-130
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    1996年11月20日に採集したマツノマダラカミキリ4齢幼虫をガラス瓶に移し,25℃全暗,短日(LD10:14),長日(LD16:8)下で飼育して蛹化・羽化を観察した。長日下では蛹室内白色幼虫,蛹室内黄色幼虫,樹皮下黄色幼虫を用いた場合,死亡幼虫を除く加温後5カ月以内の蛹化率はそれぞれ90, 100, 100%,羽化までの平均日数は86.8, 76.2, 75.0であった。樹皮下白色幼虫は5カ月以内にすべて死亡した。全暗下と短日下では蛹室内黄色幼虫のみを供試し,蛹化率はそれぞれ86.7, 28.6%,平均日数は105.8, 111.4であった。また,短日下で5カ月間蛹化しなかった幼虫を長日下に移した場合の3カ月以内の蛹化率は60.9%で,入れ替え後羽化までの平均日数は49.0であった。マツノマダラカミキリの幼虫の加温試験をする際,日長条件に注意しなければならないことがわかった。
  • 扇 大輔, 周藤 靖雄, 井ノ上 二郎
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 131-134
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    Amylostereum sp.を接種した材での変色と接種菌の進展状態を検討するために,スギとヒノキの生立木と伐倒木への接種試験を行った。生立木ではすべての接種か所で自然発病に類似した材変色が生じた。スギとヒノキの変色は接種3か月後にそれぞれ平均スギで50〜60cm,ヒノキで70cmに拡大して,本菌による変色が短期間に大きく進展することを再確認した。伐倒木の丸太では接種3か月後の材を除いて変色が生じなかった。生立木の多くの材変色部と伐倒木のいくつかの丸太からは接種菌を高率で再分離した。一方,接種菌がわずかしか分離されなかった丸太からはTrichoderma sp.やヒノキオチバタケが高率で再分離されて,枯死材の菌類相が遷移することがわかった。
  • 尾崎 真也, 塩見 晋一
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 135-138
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    兵庫県南但馬地方のスギ幼齢林7林分において,ニホンジカによる樹皮摂食害とシカの糞粒密度および林床植生との関係を調査した。調査林分は被害程度により無害1林分(被害率0.0%),微害3林分(被害率3.5〜8.4%),激害3林分(被害率60.0〜76.2%)に区分された。被害の激しい調査林分ほど糞粒密度が高かった。被害は主として4月に発生した。同時期,激害林分の林床ではササにシカの摂食痕を多く認めた。また,激害林分の植生現存量は微害林分のそれよりも少なかった。
  • 黒田 美恵子, 三好 岩生
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 139-142
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    土砂災害の防止だけでなく河川環境の保全をも目的とした環境保全型砂防事業を合理的に進めるためには,保全対象となる環境の構造を明確な定義に基づいて評価する必要がある。本研究では,既往文献のレビューによる河川環境の構造的把握とこれまでの環境保全型砂防事業の資料分析による実態と課題の解明を試みた。その結果,河川環境はその内容から防災・生態系・景観.親水性・レクリエーション機能・地域振興の6つの環境要素に分類することができ,これらが立地条件に応じた必要度や形態を持って組み合わされることによって河川環境を構成していると考えられた。このような定義に基づいた既往事業の分析の結果,これまでの環境保全型砂防事業において各環境要素が保全対象として設定される頻度と立地条件の間に一応の関係が見られた。しかし,保全対象となる環境要素やその内容には画一的な傾向も見られ,保全すべき環境に対する評価が十分でないという課題が示され,合理的な評価手法を確立する必要性が示唆された。
  • 西山 嘉寛
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 143-146
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    乾燥すると発芽率が低下するコナラ,ウバメガシ,シラカシの堅果種子を取り入れた棒状植生マットを大規模林野火災で被災した玉野市王子ケ岳に1995年3月1〜2日に設置し,2年間追跡調査を行った。その結果,施肥をし,マット表面を油紙で覆っていない場合,発芽率はコナラで66.7%,ウバメガシで70.0%,シラカシで77.8%であった。マットを設置し,2年経過後の生存率は施肥を行い,油紙を使用した場合を除き,いずれも90%以上の高い生存率を記録した。マットを設置して2年経過後の3樹種の樹高は,施肥した場合,設置1年後の樹高の2〜3倍に達していた。現在,設置後2年間を経過した時点の棒状植生マットの発芽率,生存率,樹高成長等から,本マットを利用した山火事跡地の緑化は可能であることが示唆された。
  • 西山 嘉寛
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 147-150
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    当林業試験場で開発中の板状植生マットを用いて,同場内の道路法面の緑化を試みた。この調査から以下のことが明らかになった。(1)コナラ,ウバメガシ,シラカシの発芽率はCマットを除けばいずれも50%以上であった。(2)マットを設置後の2年間で,コナラは枯損率がウバメガシ,シラカシよりも明らかに低かった。(3)牧草を使用せず,木本類を中心に使用したDマットの方が牧草類を使用した他のマットよりも樹高成長量が大きかった。(4)斜面の勾配が51°,土壌硬度が29mmと大きい切土法面でも,本マットによる緑化は可能であることが示唆された。
  • 桑垣 瑞, 赤井 龍男, 本城 尚正
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 151-154
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    本研究は,多孔質セラミックスのみを用い,植物が必要とする最小限の養水分で,植物栽培が可能かどうかを試みたものである。栽培に用いたセラミックスの,吸水速度,透過水量,含水率等の特性を検討した。その結果,陶土の種類,焼成温度により差異がみられたが,焼成温度1,200℃以上のセラミックスが植物の成育に適することが判明した。セラミックスへの給水媒体は,毛細管による給水力が大きいこと,劣化しにくいこと,有害物質を含まないことなどの面から,グラスファイバーを使用することとした。このグラスファイバーの吸水速度試験では,撚り方の強弱等によって差異がみられた。給水システムは倒置式タンク法を用い,給水管は水平連結によって一定水位を保つよう考案した。以上のような結果をもとに,現在約50種類の植物を栽培しており,順調に成育している。
  • 飯田 智子, 赤井 龍男, 本城 尚正
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 155-158
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    土壌や腐葉土を一切使用しないで,種々の形状の多孔質セラミックボードに根系を密着させ約50種の植物を栽培したところ,ごく僅かの量の養水分で生育が可能であることが分かった。一方,ハウス内においてセラミックボードを石礫,砂および山土中に埋設し,定水位給水法により緑化試験を行った。試験用植物はサザンカ,カナメモチ,アベリア,シラカシ等の木本類のほか,ヨモギ,スイバ,セイヨウカラシナ等の草本類を用いたが,いずれも生育は順調であった。中でも石礫区の生育の優れていることが注目される。以上の結果から,乾燥地,人工基盤等,植物の生育条件の厳しい場所での緑化に応用できる可能性が示唆された。
  • 竹内 秀行
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 159-160
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    国有林野事業における収穫調査業務は,近年の材価低迷や,資材内容の若齢化が進む中で,一層正確かつ効率的に行って行くことが重要である。高知営林局においては,毎木調査法や標準地調査法などが活用されているが,効率的な調査法として,ドイツやオーストリアなどで広く活用されているビッターリッヒ法は,ほとんど活用されていない。今回はそのビッターリッヒ法を取り上げ,特に今後ますます増えてくる間伐林分の収穫調査について実用化の可能性を考えた。本法の特徴は,林内にあらかじめ均等に測点を設け,調査することにより,調査者の主観による有意性が排除されるとともに,調査精度について確率的に評価できることや,調査面積の測量がいらないことがあげられる。当局における間伐林分は,1箇所あたり平均すると20ha以上もあり,このように収穫区域が大面積にわたる場合は,林分を代表するプロットの設定は非常に難しいと考えられる。今回の方法は測点を林分の中に均等に設けることにより,経験の浅い者でも標準地の設定に悩むことなく,効率よく現実林分を反映した間伐設計ができた従って,今後ますます若齢間伐林分が増加してくる中で,有効な手段と考えられる。
  • 乾 雅晴
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 161-162
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 藤田 亮, 中島 嘉彦
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 163-164
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 荒木 誠, 金子 真司, 鳥居 厚志, 古澤 仁美
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 165-166
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 松本 智也, 徳岡 正三
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 167-168
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 前田 雄一
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 169-170
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 植木 忠二, 小林 玲爾
    原稿種別: 本文
    1998 年 7 巻 p. 171-172
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    山間地域の振興に寄与するため,地域特性品種育成事業が取上げたキハダについて,さし木増殖法を検討した。2年生実生苗を地際で切断した後発生した2年生の萌芽枝を,長さ20cmのさし穂が3本採れる枝(60cm以上)と2本採れる枝(40cm程度)に区分し,1995年9月上旬,順化室内のプランター(鹿沼土)へさし付けた。さし付けの翌々年(1997年)の6月上旬に掘取って発根状況を調べたところ,部位別の発根率に顕著な差異が認められた。3本に切断した枝では,下部(73%)>中間部(50%)>先端部(4%)の発根率を示し,2本に切断した枝では下部(87%)>先端部(18%)となり,いずれの場合にも下部の発根性が高く,穂木部位が上るにつれて,急激に発根率が低下した。これらの発根状況は切口面からの不定根と観察され,2年生苗軸を利用した場合と同様に,下位の穂木ほど枯損が少なく根量も充実していた。したがって増殖効率からみれば1個体から約6本のさし穂が採れ,その半数が発根したに過ぎないが,穂木が細く軟弱なものの枯死防止を配慮すれば,なお効率のアップが可能と考えられる。
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