森林応用研究
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11月下旬のマツノマダラカミキリ幼虫への加温における日長と蛹化・羽化の関係
上田 明良
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1998 年 7 巻 p. 127-130

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抄録

1996年11月20日に採集したマツノマダラカミキリ4齢幼虫をガラス瓶に移し,25℃全暗,短日(LD10:14),長日(LD16:8)下で飼育して蛹化・羽化を観察した。長日下では蛹室内白色幼虫,蛹室内黄色幼虫,樹皮下黄色幼虫を用いた場合,死亡幼虫を除く加温後5カ月以内の蛹化率はそれぞれ90, 100, 100%,羽化までの平均日数は86.8, 76.2, 75.0であった。樹皮下白色幼虫は5カ月以内にすべて死亡した。全暗下と短日下では蛹室内黄色幼虫のみを供試し,蛹化率はそれぞれ86.7, 28.6%,平均日数は105.8, 111.4であった。また,短日下で5カ月間蛹化しなかった幼虫を長日下に移した場合の3カ月以内の蛹化率は60.9%で,入れ替え後羽化までの平均日数は49.0であった。マツノマダラカミキリの幼虫の加温試験をする際,日長条件に注意しなければならないことがわかった。

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© 1998 応用森林学会
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