アプライド・セラピューティクス
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外来がん患者への継続的な面談による薬剤師の印象変化とその影響因子
小西 麗子 磯貝 潤一石川 沙矢香宮本 廉和田守 翼眞島 崇向井 啓小森 浩二伊藤 慎二河田 興
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2022 年 17 巻 p. 1-11

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抄録

がん患者と薬剤師との信頼関係が構築されるには、面談時における薬剤師の印象が重要である。今回、患者が薬剤師に抱く印象を調査し、薬剤師の継続的な関わりによる印象の変化とその要因について検討した。 対象は、2018年8月から2020年8月に津島市民病院に通院し、初めて外来化学療法室でがん化学療法が導入される患者とした。初回の治療からがん薬物療法認定薬剤師が毎回面談し、初回と5回目の計2回、質問紙により印象を調査した。調査は、愉快さなどの形容詞対を7段階の尺度で評価し、年齢、性別、がん種、Stage、レジメン、有害事象とその対応について電子カルテの記録から収集した。また、予測5年生存率を算出し、患者の属性ごとに各形容詞対の変化を解析した。 14名に対し、3~4か月の間に各5回の指導・面談を行った結果、全体では安定感に関する項目が否定的な印象へ有意に変化した。しかし、年齢、性別、予測5年生存率、有害事象の訴えの有無を患者の属性として印象の変化を比較したところ、女性や有害事象を訴えた患者では、「愉快な」印象へ変化する傾向がみられた(p=0.031、p=0.027)。 がん患者の対応において、5回程度の指導・面談では薬剤師に抱く印象に大きな変化はみられないが、性別や有害事象への対応は印象に影響し、信頼関係構築に十分配慮されるべき要因である可能性が示された。

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© 2022 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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