アプライド・セラピューティクス
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最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 野元 玲奈, 手島 慶子, 小西 麗子, 向井 啓, 小森 浩二, 河田 興
    2025 年20 巻 p. 32-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/27
    ジャーナル フリー
    本邦における産褥期の睡眠導入剤の使用実態は明らかでない。産後2週間までの早期産褥期における睡眠導入剤の使用実態を調査して処方理由や有害反応出現と合わせて検討した。2022・2023年において愛仁会高槻病院で分娩後2週間以内に睡眠導入剤を内服した産褥婦を対象に、その背景と睡眠導入剤、エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)、有害反応について、診療録を用いて後方視的に調査した。 分娩1893例のうち52名(2.9%)が産後2週間以内に睡眠導入剤を使用していた。対象の平均年齢は33.2歳で、帝王切開は38名(73.1%)であった。睡眠導入剤の使用理由は「不眠」と「不安」を合計すると42名(80.8%)であった。睡眠導入剤は48例が1剤、2例で2剤併用、2例で変更があった。使用された56剤ではゾルピデムの使用数(割合)が最も多く、35剤(62.5%)であった。ブロチゾラム10剤(17.9%)、レンボレキサント6剤(10.7%)、エスゾピクロンは3剤(5.4%)、スボレキサントとエチゾラムは1剤(1.8%)であった。2週間健診、1ヶ月健診のいずれかでEPDSが9点以上の人は18名(42.9%)であった。有害反応は分娩前からゾルピデムの処方があった例で児の無呼吸、レンボレキサント例にふらつきが各々1例みられた。 安全性情報の充実と共に、母児にとってより安全な睡眠導入剤の使用が望まれる。
  • 石村 淳, 渡辺 剛史
    2025 年20 巻 p. 41-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/27
    ジャーナル フリー
    国民医療費の増加は、医療の発展や高齢化に伴い、生じてしまう問題である。政府は国民医療費の抑制の制度の1つとして、2024年10月より後発医薬品(GE)のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養を開始した。そこで、保険薬局における選定療養制度の開始後のGE使用率の変化および薬剤師による選定療養の説明状況についての実態調査を行った。その結果、2024年10月以降、総処方箋枚数が前年比で約7%程度増加しているにも関わらず、GE使用率は全店舗の平均で選定療養制度の開始3ヶ月後には91.2%に増加し、過去最大となった。埼玉県と東京都のGE使用率の地域差は若干の上昇の経過に違いは認められたが、埼玉県では選定療養制度が開始された2024年10月より前年比で有意なGE使用率の上昇(p=0.034)、東京都では2ヶ月遅れて前年比との有意な上昇(p<0.001)となり、選定療養制度の開始3ヶ月以内にどちらも有意な上昇を認めた。したがって、選定療養制度はGE使用率の上昇に影響を与えたことが考えられた。これは、制度開始による医療費の自己負担が増加することへの患者の懸念だけでなく、約2,500名もの選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して制度やGEについて薬剤師が説明を行ったこともGE使用率に影響を与えた可能性が推察された。医療財政の逼迫を考えると、先発医薬品の特許が切れた後は、AGを含むGEの使用へと医療制度が移行していくことが望ましいと考えられた。
  • Atsushi Ishimura, Tomofumi Watanabe
    2025 年20 巻 p. 49-53
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/18
    ジャーナル フリー
    National healthcare costs continue to rise. In recent years, high drug prices of biopharmaceuticals have contributed to increasing medical expenses. Consequently, research and development of biosimilars has been promoted, with the government frequently amending laws to promote their use. To analyze trends in biosimilar usage, we investigated the National Data Base Open Data published by the Ministry of Health, Labor and Welfare. Our findings revealed that the prescription volumes of biosimilars showed a year-on-year increase. We hypothesized that the approval and launch dates of biosimilars, along with the introduction of generic drugs, may have affected the percentage of use. Furthermore, the healthcare system revisions implemented in 2022 suggest that the increased usage of biosimilars, such as Darbepoetin Alfa, in FY2022 may have had an impact.
  • 櫻井 浩子
    2025 年20 巻 p. 54-65
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー
    本研究は、猫の飼い主を対象に、家庭内に存在する有害物質に関する認識とリスク管理行動の実態を明らかにし、薬剤師による支援の可能性を検討した。インターネット調査モニターを用いて2025年8月に360名から回答を得た。設問は、ユリ科植物や人用医薬品、芳香剤や家庭用品などに関する認知度、飼育上の配慮、医薬品管理の実態、薬剤師からの情報提供経験と今後の期待を含めて構成した。その結果、飼い主の「中毒リスク認知」には偏りがみられ、チョコレートや殺虫剤といった広く知られた危険は高く認知されていた。一方で、アセトアミノフェンやNSAIDs、アロマオイルや洗剤など非食品性リスクの認知は低かった。ユリ科植物については、危険性をよく知っていた群では、「室内に花を飾らない」「購入時に毒性を確認する」といった対策行動を実施している割合が高く、危険性の認知度と対策行動の実施との間に有意な関連が認められた。また、食品・植物・薬品の管理や芳香剤不使用などの安全志向を持つ飼い主は、飲み薬を高所に保管する、外用薬を片付けるなど医薬品管理も徹底しており、安全志向が領域横断的に波及する傾向が確認された。さらに、薬剤師から情報を得た経験は2人(0.6%)にとどまったが、今後の支援として薬の保管方法や誤食時の対応などが挙げられた。以上より、薬剤師が服薬指導やOTC相談の場で有害物質リスクを周知し、リーフレット配布や講座の開講、動物病院との連携を通じて飼い主の対策行動を促す一次予防の担い手となる可能性が示唆された。
  • 飯田 紗希, 櫻井 浩子
    2025 年20 巻 p. 66-74
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー
    AYA世代がん患者は就学や就労、結婚などのライフイベントと重なる時期であり、治療の過程にも影響を及ぼすと考えられる。AYA世代の罹患率が高い血液がんや女性器がんは治療により外見への変化が生じやすい。容姿の変化は患者に精神的ダメージに加え、対人関係や行動範囲の制限にもつながる。 そこで、本研究では在宅医療に携わる多職種計11名にインタビュー調査を行い、在宅療養中AYA 世代がん患者のアピアランスケアに対する薬剤師の役割について考察した。AYA 世代がん患者の抱える悩みに対する医療従事者の関わり、薬剤師の介入状況について尋ねたところ、薬剤師と他職種の連携において「吐き気やしびれでの連携が多い」「薬の飲みやすさや治療を効果的に進めることはある」などの意見がある一方で、「アピアランスケアに興味のある薬剤師がいない」「アピアランスの話題になると発言が少ない」との課題も示された。薬剤師からの「定期的な患者への声掛け」「正しい情報の提供」に加え、「がん教育などを通じた社会全体の理解促進が必要」との意見もみられた。 以上の結果から、在宅療養中のAYA世代がん患者に対して、薬剤師は服薬指導のみならず、アピアランスケアを含めた副作用対応を行う必要性が示唆された。また、アピアランスケアに対する社会的理解を深める取り組みとして、薬局での情報提供や生活に寄り添ったアドバイスなど、薬剤師が地域や社会に働きかける役割の重要性も明らかとなった。
  • 川島 紀明, 宮本 拓也, 高橋 晴美, 深瀬 慎一郎, 深瀬 直子, 老川 あずさ, 西村 由弥子, 細見 徳子, 緒方 宏泰
    2025 年20 巻 p. 1-31
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
    わが国の医療で使用可能な心不全治療薬とその活性代謝物の総計62について、薬物動態パラメータの決定因子を推定するため、健常成人を対象とした薬物動態パラメータ値(バイオアベイラビリティ (F) 、尿中未変化体排泄率 (Ae) 、分布容積 (Vd(p)) 、全身クリアランス (CLtot(p)) 、 血漿(血清)中非結合形分率(fuP)、全血中薬物濃度/血漿中薬物濃度比 (B/P))を収集した。 F、Ae、Vd(p)、CLtot(p)、fuPが揃って得られた薬物数は26、そのうち、わが国における公的、準公的な資料によって得られたのは14薬物に限られた。クリアランス及び分布容積の決定因子を推定するためには、全血液中薬物濃度に基づくクリアランス及び分布容積の値が基本となるが、そのために必要なB/Pは19薬物で測定あるいは推定ができ、クリアランス及び分布容積の決定因子が共に推定できたのは15薬物であった。S (binding sensitive; fuP<0.2)の薬物数は26、IS (binding insensitive; fuP>0.2)の薬物数は21であり、そのうち、臓器機能障害患者を対象にした薬物動態試験において、非結合形薬物濃度あるいは fuPの値が測定されているSの薬物は、ダパグリフロジン、ベルイシグアト、トルバプタンの3つに過ぎなかった。一方、ISの薬物において臓器機能障害患者を対象にした薬物動態試験が行われていたのも 4つに限られていた。使用上の注意等に関する項目中、薬物動態の視点から用法用量の調節が記載されている医薬品について、薬物動態試験の具体的な結果に基づく記載が殆どなされていないなどの問題点も見受けられた。
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