失語症研究
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原著
いわゆる「範疇的態度」の障害による健忘失語の一症例
藤野 博岩倉 稔子渋谷 直樹
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1991 年 11 巻 4 号 p. 230-236

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抄録

Goldsteinによって提唱された,いわゆる「範疇的態度」の障害を基本障害とする健忘失語の一症例を報告した。症例は59才の右利き女性。単純ヘルペス脳炎による左側頭葉の病変によって失語を生じた。臨床像は語義失語の特徴を持つ超皮質性感覚失語から健忘失語へ移行した。呼称や動作説明において次のような特徴が見られた。 (1) 対象の用途や細部の説明は可能だが呼称ができない。説明の中で目標語自身を使っているのに,あらためて名前を問われると,それを呼称できないということもある。 (2) 対象の個別性にこだわる。 (3) 微妙なニュアンスを表現しようとし,対象をひとことで簡単に言い表わせない。 (4) 対象から受ける印象を述べる。以上の特徴とカテゴリー分類テストの結果およびジェスチャー・ヒントの効果から本症例の基本障害は範疇化の過程にあることが示唆された。

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© 1991 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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