失語症研究
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原著
随筆様文章を書くに至った失語症の一症例
—書字による談話について—
太田 千明高見 武志下村 隆英竹田 契一
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1991 年 11 巻 4 号 p. 237-243

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抄録

    左被殻出血により失語症を呈した症例の自発書字を, (1) SLTA「まんがの説明」, (2) 課題作文の随筆様文章「秋」について検討した。 (1) では,発症後3か月より誤りを伴いながらも文の書字が可能となり,同9か月には1コマ毎に文による説明が可能となった。さらに同24か月以降は接続詞の使用などにより,全体でまんがの筋に対応する説明となり,各文が繋がりを持ち,全体で談話を構成するまで改善した。 (2) では,豊富な語彙で,適切な構造による談話が産出されていた。両者で仮名錯書等の文字表記の誤りが見られたが,文法的誤りは見られなかった。
    本例より,失語症者でも書字による談話の産生が可能であることが示唆された。その背景には失語症の改善,病前の書字習慣,言語思考力,書字に対する態度などの要因があると考えられた。

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© 1991 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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