ポジトロンCT (C15O2,15O2持続吸入法) を用いて,障害を持つ脳の賦活の研究を行い,正常例と軽度の失語症を有する脳腫瘍2例の結果を比較し,この検査の持つ意義を検討した。課業 (前日に体験したことを想い出しながら喋る) に伴う,局所脳血流量,局所脳酸素代謝率の変化を調べ,賦活の指標とした。本課業により,正常人では左側シルビウス裂周辺の言語野のみならず,右側も含め,広範な脳の賦活が見られた。失語症例では,左側シルビウス裂周辺の賦活は正常例に比し不良であったが,運動前野や補足運動野の賦活は比較的保たれていた。本検査法は脳の統合機能および,障害を有する脳の可塑性の研究に有用と考えられた。