失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
Print ISSN : 0285-9513
ISSN-L : 0285-9513
原著
側頭葉てんかんにおける言語自動症
—意識障害の有無と反復型言語自動症発現の脳波的条件—
兼本 浩祐
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 14 巻 3 号 p. 170-179

詳細
抄録

側頭葉切除術のための頭蓋内発作脳波同時記録にて得られた9回の反復型言語自動症の記録と, 脳波上これと類似の構造を示す5回の前兆の記録から, 反復型言語自動症が出現する脳波上の条件を検討した。さらに, 意識が保持されたまま, 言語自動症が出現する場合があることが確認され, その際には, 『当番, きやはった』という発作時の常套句は, 強迫的に表出されるのではなく, 口癖のようにふと口をついて表出されると感じられていた。このことから, 側頭葉てんかんにおける言語自動症は, 一種の不随意運動というよりも, 特定の体験に対する応答である可能性を指摘した。

著者関連情報
© 1994 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
前の記事 次の記事
feedback
Top