失語症研究
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原著
意味カテゴリーによって異なる呼称成績を示したウェルニッケ失語の1例
—カテゴリー分類における階層の観点から—
餅田 亜希子宇野 彰小嶋 知幸上野 弘美加藤 正弘青井 禮子
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1995 年 15 巻 3 号 p. 270-277

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抄録

標準失語症検査 (SLTA) における単語の呼称は4割可能である一方,家族名の呼称の正答率が約1割というウェルニッケ失語の症例について報告した。本症例は,はじめ,家族名のみの呼称障害が選択的と思われたが,その他の意味カテゴリーを含む呼称検査において,カテゴリーによって段階的に異なる正答率を示した。すなわち,身体部位が 75%以上と最も高く,次いで,乗り物,果物,野菜,動物,楽器が 25~50%の間,貨幣,日本国内の名所,家族,手指,色は,25%以下の低い正答率を示した。本研究では,本症例に固有の「意味カテゴリーの階層構造」を仮定し,以上の検査結果を対応させることにより,本症例の呼称障害のメカニズムを説明することを試みた。そして,本症例の呼称障害は,特定のカテゴリーに限定して生ずるのではなく,階層構造にしたがって段階的な重症度をもって出現するのではないかと考えた。

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© 1995 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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