失語症研究
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B.失語症言語治療の諸側面
感覚失語の言語訓練
遠藤 邦彦
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1996 年 16 巻 3 号 p. 238-245

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抄録

    感覚失語19例の症状を分析した結果,以下の群に分けられた。(1) 復唱障害I型 : 復唱障害を特徴とし,聴理解は障害が軽くなる。呼称障害は急速に改善。共通病変は左横側頭回から聴放線。(2) 復唱障害 II型 : 復唱障害,聴理解の障害,呼称障害が著しい。字性錯語と新造語が出現。共通病変は左上側頭回後部。(3) 意味理解障害型 : 復唱できても聴理解ができない。語性錯語と新造語が出現。共通病変は左上側頭回前部と中側頭回。(4) 混合型もしくは重症型 : 復唱障害 II型と意味理解障害型の特徴を併せ持つ。共通病変は左上側頭回と中側頭回にまたがる。(5) 不全型 : 症状が軽く復唱障害型か意味理解障害型かはっきりしない。(6) 超皮質性感覚失語 : 復唱が他の言語機能と比較してきわめて良好。反響言語が出現。
    感覚失語の言語訓練は,言語情報処理機構の損傷箇所によって異なり,(1)(2) では語音の弁別,認知,把持,(3)(6) では語義理解,(4) では語音,次に語義の認知の訓練が必要である。

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© 1996 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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