失語症研究
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原著
緩徐進行性失行症の一例
永井 知代子原 由紀子岩田 誠
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1997 年 17 巻 3 号 p. 258-265

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抄録

緩徐に進行する肢節運動失行症の一例を報告した。症例は69歳,右利き男性。65歳ころより右手指巧緻運動障害が徐々に進行。神経学的には運動・感覚系ともに異常を認めず,腱反射のみ右上下肢で亢進している。WAIS-R では IQ115 と知能は保たれている。失語・失認は認めない。行為障害の主体は右上肢遠位部における巧緻運動の拙劣さであり,近位部の単純動作では拙劣さは目立たない。自動性・意図性間で解離はみられず,模倣・道具使用いずれにおいても同様の障害を認めた点から肢節運動失行と考えられた。MRI では両側前頭葉の萎縮および中心溝付近では左側優位の萎縮を認める。99mTc-ECD SPECT では両側上中前頭回,左側頭葉および左中心溝付近で前方優位の血流低下がみられた。本例はこれまでの緩徐進行性失行症の報告例と比較して,より純粋に失行症状のみを呈した点が特徴的であり,corticobasal degeneration として報告されている症例との比較も含め考察した。

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© 1997 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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