失語症研究
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原著
SLTA段階評価3 (ヒント正答) ,4 (不完全正答) の検討—CADLとの比較—
岩田 まな佃 一郎山内 俊雄
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キーワード: SLTA段階評価3と4, CADL, 失語症
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1998 年 18 巻 4 号 p. 309-314

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抄録
    著者らは SLTA 6段階評価の段階3,4で表される言語機能には種々の重要な意義があることを報告してきた。すなわち, (1) 段階3,4は失語症状回復の過程を表す部分であり,以後の改善の予測ができる。 (2) 長期経過において症状の悪化なのか変動性なのかの判断材料となる。 (3) 重度失語症者のコミュニケーション能力を表す部分である。
    本稿では段階3,4の機能が日常のコミュニケーションにどのように関連しているかを検討するために SLTA と CADL の成績を比較した。
    その結果,理解面においては SLTA のほうが CADL の成績より高く,SLTA で高得点をとっても日常生活上は支障があることが予測された。表出面においては逆に CADL のほうが得点が高かったが,段階3,4の成績を加味すると CADL との相関が高くなった。このことから失語症患者は段階3,4のレベルでコミュニケーションをとっていると考えられた。
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© 1998 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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