失語症研究
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シンポジウム
漢字と仮名の処理は違うのか : 出現頻度効果による検討
日野 泰志
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2000 年 20 巻 2 号 p. 108-114

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抄録
Hino & Lupker (1998) は音読課題,語彙判断課題,および Go/No-Go音読課題を使って漢字単語とカタカナ単語の出現頻度効果を観察した。語彙判断課題では漢字・カタカナ単語ともにほぼ等しい大きさの出現頻度効果が観察されたのに対して,音読課題では,漢字単語の出現頻度効果のほうがカタカナ単語の効果よりも大きかった。また,被験者に刺激が単語であった場合のみ音読反応を求める Go/No-Go音読課題では,音読課題と同様,漢字単語の出現頻度効果がカタカナ単語の効果よりも大きく,さらにそれらの効果の大きさは語彙判断課題において観察されたものよりも大きかった。これらの結果は漢字単語とカタカナ単語の音韻検索は同じプロセスによると仮定する PDP (並列分散処理) モデルからの予測に一致するものであった。これらの結果は,漢字単語と仮名単語の音韻検索は比較的類似の処理であることを示しているようである。
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© 2000 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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