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失語症研究
Vol. 20 (2000) No. 2 P 157-164

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http://doi.org/10.2496/apr.20.157

原著

語義失語像を呈する側頭葉性Pick病疑いの患者に縦断的な言語検査を行い,その結果に基づき本症例に認められた語義障害とその進行過程について検討した。発症が認められた1997年と翌98年の時点では,単語の補完はほとんど不可能であったが,実在語と非実在語の弁別が可能であった。すなわち語の音韻形は内的に保持されていると考えられた。また単語の音韻形と線画のマッチングは約6割で可能であった。一方語義失語患者で失われると言われてきた「語の辞書的意味」は,本症例でも障害が著明であった。1999年の時点では実在語と非実在語の弁別は可能だったが,単語の音韻形と線画のマッチングの課題では正答率は約3割に低下していた。「語義」の構造について文献的な考察を行って再度整理し直し,本症例の言語症状を検討した結果,本症例の語義障害は言語性意味の障害→語の音韻形と非言語性意味の連合障害という過程で進行したと考えられた。

Copyright © 2000 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)

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