失語症研究
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シンポジウム
一般用語になりつつある高次脳機能障害
大橋 正洋
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2002 年 22 巻 3 号 p. 194-199

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抄録
この数年,高次脳機能障害は,メディアや行政の用語として用いられるようになった。しかしながら,医学領域ではこの語の定義について見解は統一されていない。リハビリテーション医学の分野では,20年以上も以前から,診断や治療についての試みが行われてきた対象である。しかし,主な関心は脳血管障害による失語・失行・失認といった神経学的症候に絞られていた。この数年,救急医療の進歩によって,脳外傷などによるびまん性脳損傷の後,救命された人々がリハビリテーションの現場に来るようになった。これらの人々は,認知,情緒,心理社会的障害などを持つ傾向があり,これらの障害は評価や対応が困難である。高次脳機能障害を持つ人々を支援するためのシステムは,量的にも質的にも十分ではない。1998年,当事者組織が設立され,広報活動を行った結果,この用語が急速に注目をあびるようになった。
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© 2002 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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