抄録
老年期痴呆は血管性痴呆,アルツハイマー型痴呆,神経変性疾患の痴呆 (皮質下痴呆 ) または身体病ことに内分泌疾患による痴呆,および仮性痴呆 (うつ病等) に分けられる.
本稿では主としてアルツハイマー型痴呆の臨床と病理について述べた.臨床的には記憶ことに最近の記憶の喪失,失見当,行動異常,不眠等,多幸気分および病識の欠如が特徴的である.病理学的にアルツハイマー病脳では主として大脳皮質神経細胞の脱落,アルツハイマー神経原線維変化の出現,ことにアンモン角,大脳皮質,視床下部,脳幹等および老人斑の沈着があげられる.