失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
Print ISSN : 0285-9513
ISSN-L : 0285-9513
7 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 佐藤 ひとみ, 遠藤 尚志, 保坂 敏男, 長谷川 恒雄
    1987 年 7 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1987年
    公開日: 2006/07/28
    ジャーナル フリー
         失語症患者の職業的予後を明らかにし,林の数量化理論第 II 類 (カテゴリカル重判別分析) を用いて,職業復帰に影響すると思われる17要因の影響の程度を解析した.対象は,全国 85 の言語治療施設で 1981 年に初診した失語症患者のうち,1984 年に行なった追跡調査で有効回答の得られた 479 名である.主な結果は次の通りである.
        1) 言語治療受診後 3 年経過時に就業していた者は,61 名 (12.7 %) であった.これらの就業者は全員が発症前有職者 (総数 344 名) で,職業復帰率は 17.7 %となった.
        2) 61名の職業復帰の形態は,19名 (31.1 %) が配置転換,5 名 (8.2 %) が転職,それ以外の者は元職復帰であった.
        3) 職業復帰に最も強く影響していた要因は,上肢機能であった.以下,言語治療期間,言語治療開始までの発症経過期間,発話レベルの順位で相対的に強い影響を示した.
  • —三次元的脳血流測定による検討—
    牧下 英夫
    1987 年 7 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 1987年
    公開日: 2006/07/28
    ジャーナル フリー
    左被殻出血41例の言語症状と single photon emission CT による脳血流を対比検討した. 10 例の非失語と 31 例の失語例を認め,失語症状は自発話流暢性と聴理解の障害の程度にあまり解離がみられないという特徴があった.脳血流低下は X 線 CT の異常所見より広範囲で,脳表部左中大脳動脈灌流域 (MCA) におよび,失語症の発現の有無,失語型の差異は深部基底核領域よりも MCA での血流低下と関連することがわかった.また MCA 前部血流量と同後部血流量は正の相関を示し,失語症状の特徴と関連すると考えられた.しかも自発話流暢性の障害と MCA 前部血流量の低下,および聴理解障害と同後部血流量の低下との関連性は脳表部に主病巣をもつ脳梗塞失語例と同様にみられた.血腫径の検討や血腫吸引術前後の経過などより,大脳表層部の血流低下には血腫による mass effect が重要な因子の一つになっていると考えられたが,慢性期での遠隔部血流低下には mass による二次的不可逆的脳損傷や transneural な遠隔効果など複数の要因を考える必要があると思われた.
カレントスピーチ
教育講演
  • 石井 毅
    1987 年 7 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 1987年
    公開日: 2006/07/28
    ジャーナル フリー
         老年期痴呆は血管性痴呆,アルツハイマー型痴呆,神経変性疾患の痴呆 (皮質下痴呆 ) または身体病ことに内分泌疾患による痴呆,および仮性痴呆 (うつ病等) に分けられる.
        本稿では主としてアルツハイマー型痴呆の臨床と病理について述べた.臨床的には記憶ことに最近の記憶の喪失,失見当,行動異常,不眠等,多幸気分および病識の欠如が特徴的である.病理学的にアルツハイマー病脳では主として大脳皮質神経細胞の脱落,アルツハイマー神経原線維変化の出現,ことにアンモン角,大脳皮質,視床下部,脳幹等および老人斑の沈着があげられる.
feedback
Top