失語症研究
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原著
熟知相貌に対する失認と正常な未知相貌弁別能力を示した右後大脳動脈外側枝閉塞の一例
玉井 顕鳥居 方策榎戸 秀昭松原 三郎三原 栄作
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1987 年 7 巻 2 号 p. 160-166

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抄録

近年,相貌失認という術語は熟知相貌に対する失認のみを意味するものとされているが,相貌失認患者はほとんど常に未知相貌の弁別・学習障害を有しており,未知相貌の弁別・学習能力が正常な相貌失認の症例は,これまでに5例1), 4), 11), 13), 16) が報告されているだけてある.この論文に報告したわれわれの症例は,上記のような解離を有する 6 例目 (本邦では初めて) の相貌失認症例である.頭部 CT scan の所見では,しばしば相貌失認発現と関連する右後頭葉内側面の障害はなく,後頭葉内側面のまぬがれた右後大脳動脈外側枝の閉塞がもっとも疑われた.本症例で観察された臨床面での特徴的な解離が CT 所見で認められた例外的な病巣部位と関連する可能性があり,興味深い症例と思われる.

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© 1987 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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