失語症研究
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原著
視床出血例の構成機能
—左側例と右側例との比較—
鶴岡 はつ千葉 文恵新井 弘之宮川 照夫鹿島 晴雄
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1987 年 7 巻 4 号 p. 273-281

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抄録
     血腫量10 ml 以下の左—右視床出血例の構成機能を分析し,その量的,質的な側面および視床と皮質の線維連絡について検討した。
    左46例,右31例を1群 (中部限局) ,2群 (後—外方,脳室内穿破ナシ) ,3群 (後—外方,脳室内穿破アリ) ,4群 (前方) にわけ,平均35病目に WAIS 動作性,Coloured Matrices,Benton 視覚記銘検査Aを施行した.
    量的には左,右病巣で差はないが3群が最も低値である。質的には左群で “思考低下” , “無反応” および “省略” が,右群では “不注意” 及び “ゆがみ” が多くみられ, Hartje12) らの左右半球病巣より出現する構成障害の差異と一致する点があり,視床と皮質の線維連絡の障害によると考えられた.
    また,右群で “誤り” の左側図形と右側図形の選択比率は 1.0 : 3.1 で,これは植村ら25) の云う視床と劣位半球の統合による非言語性抽象概念の形成 (視空間・認知等) を裏付けるものと考える.
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© 1987 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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