失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
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原著
失語症患者の構文の産生力の回復メカニズム
藤田 郁代
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1989 年 9 巻 4 号 p. 237-244

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抄録

     Broca 失語,Wernicke 失語,全失語の文の産生障害と回復過程を分析し,次の結果を得た.(1) 各失語群の文の産生力は構文処理の階層に従って崩壊し,回復した.文の産生レベルは Broca 失語と Wernicke 失語ではほとんどの者が回復したが,全失語では回復しなかった.(2) 産生できる文のレベルは失語群によって異なった.治療終了時には,Broca 失語は文頭が動作主格でない可逆文の産生,Wernicke 失語は補文を特つ可逆文の産生か困難であった. Wernicke 失語はこれらの文の産生が困難な場合, 他のより易しい文型を代用して産生した. (3) Broca失語と Wernicke 失語の文の誤りは名詞や動詞を基本語順に構成することが可能となリ,次いで,助詞の付与が可能となる方向に回復した.Broca失語は基本語順の構成の誤り, Wernicke 失語は助詞の付与の誤りが特徴的であった.
    以上から, 各失語群の文の産生力の障害の性質や予後は異なることが示された.

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© 1989 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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