抄録
本研究では、インターアクションを取り入れた教室活動について、活動の参加者である学習者・母語話者への教員の意識を調査し、その意識が活動に及ぼす影響を考察した。まず、質問紙を用い、日本語教育に関するビリーフを調査した結果、いつくかの項目において相関関係がみられた。教員は学習者が生の日本語に触れる機会としてのインターアクションを評価しているが、教室内の活動は学習者のレベルに合わせた日本語で実施したいという意識もみられた。さらに補充調査として活動に対する姿勢の異なる教員 5 名に半構造化インタビューを行った。ここでは、教員の仕事は「学生のサポート」であるとの意識がみられ、「学習者を守りたい」という思いから、現実社会で起こりうるインターアクションを回避する傾向にあることもわかった。このような結果から、活動をデザインする教員の意識の変革が、今後の多文化共生社会における教室活動に不可欠であると考える。