APU言語研究論叢
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初 ・ 中級中国語における 「把」 構文の教授法についての一提案 —「把」構文の再分類及び導入順序を中心に —
羅 華
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2019 年 4 巻 p. 18-

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抄録

「把」構文は中国語特有の構造のひとつである。数多くの研究の成果として「把」構文の教授法は、その難易度に応じ何段階かに分けたほうが効果的であることが証明されている。現在本学が使用している教材、中国国内外の第二言語習得の中国語教育現場で広く使用されている『新実用漢語課本』(1)(北京言語大学出版社)では「把」構文を5段階(5回目はまとめ)に分け、導入している。複雑な文法項目を段階的に導入し、学習者は前の段階で習った内容を復習しながら新しい内容を身につけていくことが人間の認知過程にも一致しているので提唱すべき教授法だが、導入の順序は他の文法項目や語彙、そして学習者が置かれている学習環境を考慮した上で決められなければならない。『新実用漢語課本』では「把」構文を段階別に導入することで学習者の習得度が高まるが、その導入順序の決め方をはじめ、「把」構文の構造式だけを習得できれば良いという構造シラバス中心の教授法に疑問を感じている。現行のままでは「把」構文のもっとも理解しやすいパターンはなかなか導入できないうえに、学習者は「把」構文の構造式を覚えても、どのような場面で「把」構文を使用するのかを理解することができない。本文はまず「把」構文の新しい分類法を提案し、その分類法を応用し、初・中級中国語教育における各パターンの「把」構文の導入順序を再考する。また、どのような場面で「把」構文を使うべきか、どのように使うか、そして「把」構文のベースにある主語の能動性を際立たせる特性に注目し、より効果的な教授法を探りたい。

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© 2019 立命館アジア太平洋研究センター
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