APU言語研究論叢
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“是不是” の日本語訳から見る中日モダリティ形式の対応関係
張 恵芳
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 4 巻 p. 35-

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抄録

中国語の“是不是”疑問文に関する研究は数多くある。80年代以降、日本語のモダリティに関する研究の隆盛に伴い、日中モダリティ形式の対照研究も脚光を浴びてきた。日中対照研究分野において、“是不是”の対応形式は「ノデハナイカ」とされている。しかしながら、対訳コーパスや自然会話データを調査した結果、「ノデハナイカ」に訳せない“是不是”が数多く出てきた。本稿は、“是不是”の日本語訳から中日モダリティ形式の対応関係を捉えなおし、次のような結論を導き出す。プロミネンス、「文における位置」などの要素が“是不是”の多様な用法を生み出し、それに対して、文末にモダリティ形式が集中する日本語は多様な形式を以って用法をカバーする。その指摘と共に、自然会話においては形式上の対応より「表現機能」という視点から捉えた対応関係がより重要視されるべきだとも主張する。その成果は中国語教育と日本語教育の会話指導に役立つ。

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© 2019 立命館アジア太平洋研究センター
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