抄録
留学生が教室を飛び出し、地域に出て日本語を学ぶ言語教育プログラムを地方にある国
際大学で実施した。このプログラムは、サービス・ラーニングの枠組みを参照してデザイ
ンしたものであり、学生は地域住民との交流や「まち歩き」をもとに、活動の最終成果物
として新たな「まち歩き」のルートとそのPRビデオを作成し、地域住民に対して発表した。
この言語プログラムの効果を測るため、プログラム実施中に行った会話レベルチェックと
「事後学習」として提出された課題、およびプログラム後に実施したサーベイを「学業面
の強化」「市民性の育成」「自己成長」の3 つの観点から分析した。分析の結果、「学業面」
においては日本語能力の伸びが確認でき、学生自身もそれを強く認識していたが、「自己
成長」はあまり意識化されていなかった。「市民性の育成」という点では、地域への理解
を深め、市民としての自覚の兆しはあるものの、行動につながるような顕著な変化は見ら
れなかった。今後は、「学業面の強化」とともに、「市民性の育成」や「自己成長」につな
がるようなプログラムの設計が課題である。