2008 年 56 巻 4 号 p. 497-503
アサクサノリと変種オオバアサクサノリを判別することを目的とし,ミトコンドリアATP6遺伝子に関連したミトコンドリアDNA部分塩基配列(670 塩基)をマーカーに解析を試みた。その結果,オオバアサクサノリ3株において塩基配列が完全に一致し,ITS-1領域で変異が見られたアサクサノリ系統3株においても本領域の塩基配列は完全に一致した。また,アサクサノリ系統とオオバアサクサノリの間で1塩基置換が確認された。このことから,本領域はオオバアサクサノリの判別に有効なマーカーとなる可能性があることが示唆された。また,本領域はアサクサノリとナラワスサビノリの間でも20-21塩基置換が認められた。これらのことから,オオバアサクサノリの判別だけでなく,アマノリ類の種判別技術開発に活用できるマーカーとなる可能性もある。