クルマエビの成長，ストレス耐性および免疫応答に及ぼす加熱処理ラクトバチルス死菌体添加飼料の効果

抄録

クルマエビに対するラクトバチルス加熱処理死菌体（HK-LP）の添加効果を明らかにするために，20%のHK-LPを含有する製剤（HK-LP Prep）の添加量を変えた5種類の試験飼料（0，1，10，100および1000 mg/kg）を作製し，平均体重4.9 g の稚エビに60日間給餌した。飼育試験終了後の稚エビを用いて，飼育水へのリン（P）と硝酸態窒素（N）の排泄量と飼育水およびエビ糞中の細菌数を測定した。さらに塩分濃度変化ストレス前後および無負荷対照区のエビよりそれぞれ血リンパを採取し，総ヘモサイト数，生ヘモサイト数および貪食活性を測定した。飼育試験では，HK-LP Prep を100 mg/kg 以上添加した区が無添加区に比べ高い成長を示したが，生残率，摂餌量，P および N 排泄，飼育水および糞中の生菌数には有意差はみられなかった。低塩分ストレス負荷後の累積死亡指数は，100 mg/kg 以上の添加区で無添加区に比べ有意に低い値を示した。また，低塩分ストレス負荷後の総ヘモサイト数，生ヘモサイト数および貪食活性は，いずれの区でも負荷前に比べ低下したが，他の結果と同様に100および1000 mg/kg 添加区が他の区に比べ有意に高い値を示した。